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共通熱履歴センサーリファサーモユーザーズマニュアル(第4版)

1 リファサーモの原理
2 リファサーモの成分
3 リファサーモと焼成条件
 3-1 リファサーモと伝熱モード
 3-2 リファサーモと保持温度
 3-3 リファサーモと保持時間
 3-4 リファサーモとセット位置
 3-5 リファサーモと焼成雰囲気
 3-6 リファサーモと反り変形
 3-7 リファサーモの加熱処理評価の条件
 3-8 リファサーモ使用上の注意
4 リファサーモの特長・利用方法および異常値に対する処置
5 リファサーモの品質保証思想
6 リファサーモの使用温度範囲、指示温度精度およびリファサーモ指数
 6-1 リファサーモの使用温度範囲と指示温度精度
 6-2 リファサーモ指数
7 リファサーモの適正タイプの選定方法
8 収縮後の寸法(グラフ)


1  リファサーモの原理 

 リファサーモはアルミナなどのセラミック粉末を所定の形状に成形したものです。即ち、リファサーモを加熱処理すれば、一般のセラミックスと同様、昇温にともなって収縮緻密化が進行し、ついには緻密体となります。
 リファサーモを炉内の管理したい位置にセットし、加熱処理後室温まで冷却してから、図1の寸法をマイクロメータで測定します。
 JFCC実用標準物質リファサーモは、原料の組成、粒度分布、成形密度等が厳密に管理された実用標準物質であり、焼成条件、熱履歴により、再現性良く収縮緻密化する現象を利用した熱履歴センサーです
図1
図1 リファサーモの寸法測定部分

2  リファサーモの成分 

リファサーモの主な成分を下表に示します。
(単位 : 重量%)
成分 タイプ
H M L L1 L2
Al2O3 >95 >88 -- >50 >50
SiO2 -- <10 >60 >30 >30
MgO -- -- <32 -- --
CaO -- -- < 5 -- --
B2O3 -- -- -- < 8 < 8
なお、この他に有機結合剤(PVA・PEG系)を数重量%含みます。

3  リファサーモと焼成条件 

3-1 リファサーモと伝熱モード

リファサーモを炉内にセットした場合、3つの伝熱モードが考えられます。(図2参照)
 (1)雰囲気ガスの対流による伝熱モード
 (2)発熱体あるいは炉芯管からの輻射による伝熱モード
 (3)熱伝導、即ち棚板、焼成治具などとの接触による伝熱モード
図2
A B
(A)熱伝導による伝熱量が大きい場合 (B)熱伝導による伝熱量が小さい場合

図2 伝熱モードと反り変形の関係


3-2 リファサーモと保持温度

リファサーモは、所定の範囲内では、高温度で保持するほど収縮します。
例えば、Mタイプを大気中1300℃、1500℃で2時間保持した場合、収縮後の寸法は次の通りです。
(収縮例)Mタイプ  1300℃ 21.05mm
1500℃ 18.51mm


3-3 リファサーモと保持時間

リファサーモは、同じ温度であっても、保持時間が長い程、よく収縮します。
例えば、Mタイプ、1450℃の場合、図3のようになります。
グラフ
図3 保持時間と収縮後寸法との関係(例)


3-4 リファサーモとセット位置

 リファサーモは、焼成炉内のセット位置により、収縮寸法が異なります。焼成炉は、上下左右前後の位置の違いにより温度差があるので、リファサーモのセット位置により、収縮が異なります。
 また、同じ温度であっても、セット位置の伝熱モードの違いによっても異なります。例えば、熱電対では同じ1500℃の位置であっても、雰囲気ガスの対流が激しいと、伝熱量が多くなるので収縮が大きくなります。すなわち、リファサーモは、そのセット位置において、温度、時間だけでなく、伝熱モードまで含めたすべての熱履歴を、収縮量すなわち収縮後の寸法によって表す熱履歴センサーであるといえます。このことを利用し、炉内の温度分布の状況を把握することができます。


3-5 リファサーモと焼成雰囲気

 リファサーモは、大気雰囲気での使用を前提としていますが、中性雰囲気、還元性雰囲気、及び真空中で使用する場合は以下のことに十分注意してください。
 まず、リファサーモからの蒸発成分が、炉や製品に悪影響を与えないことが必要です。蒸発成分としては、有機結合剤の分解ガス※1やカーボンがあります。又、真空中および低酸素濃度下ではリファサーモの組成から発生するMgO、AlO、SiOなどの無機質ガスが考えられます※2
 この場合、リファサーモは、焼成雰囲気ガスの組成、酸素濃度など雰囲気全体の影響をも含めた熱履歴センサーであると言えます。
※1:例えば、CO2、1-Propene、Acetoaldehyde等があります。
※2:この場合「寸法−指示温度対照表」は適用できません。


3-6 リファサーモと反り変形

 焼成条件によっては、リファサーモが反ることがあり、正確に測長できないことがあります。反りの原因は、例えば図2において、対流、幅射の伝熱量が、棚板からの熱伝導の伝熱量より大きい場合は、リファサーモの上部の方がより収縮しますので、上に反ります。
 リファサーモ全体が、均一に加熱される場合は、反り変形は発生しません。反り変形があった場合、リファサーモへの伝熱のバランスがくずれているということですので、製品も同じように熱量の供給バランスがくずれた状態で加熱されている可能性がありますのでご注意ください。
 反り変形があって、寸法が正確に測定できない場合は、図4のように側面を底にしてセットすれば反りを低減させることができます。
図2
A B
(A)熱伝導による伝熱量が大きい場合 (B)熱伝導による伝熱量が小さい場合

図2 伝熱モードと反り変形の関係

図4
図4 反り変形を防止できるセット方法


3-7 リファサーモの加熱処理評価の条件

 リファサーモは、収縮特性の評価の精度が非常に重要になってきます。前述したように、リファサーモの収縮に影響を与える加熱処理の条件として、温度プログラムパターン(保持温度、保持時間、昇降温速度)、焼成炉でのセット位置、焼成雰囲気などが挙げられます。リファサーモの加熱処理評価条件は、次の通りです。
焼成炉 バッチ式電気炉
場所 中央均熱部
雰囲気 大気
昇温速度 200℃/時間
保持温度 2時間
降温速度 300℃/時間
上記の条件を満たしていてもお使いの炉の状態などにより、必ずしもリファサーモ指示温度が熱電対等から得られる温度を示すとは限りません。


3-8 リファサーモの使用上の注意

リファサーモは、高温多湿下では変質しますので、冷暗所に保管下さい。
測定面に成形時のバリがある場合は、入炉前に軽く柔らかいもので拭き取って下さい。出炉後は室温まで冷却してから測定し、測定面に付着物がある場合は、取り除いて下さい。より正確に寸法が測定できます。
リファサーモが変形して反る場合は、側面部を底面にしてセットして下さい。
リファサーモのセット位置は、いつも同じ位置にして下さい。位置による誤差を軽減できます。
大気雰囲気以外で使用される場合は、製品などに影響があるかも知れませんので、事前にテスト確認してご使用下さい。また、高純度の製品を加熱処理するような場合、大気雰囲気であっても、有機結合剤の分解ガスなどで汚染されるおそれがありますので、事前にテスト確認してご使用下さい。
リファサーモはそれぞれ異なる成分で作られているため隣接して焼成すると相互干渉を引き起こすことがありますので注意して下さい。
例えば、HとM、LとL1およびL1とL2は大気雰囲気中で隣接して焼成すると相互干渉により指示温度が、正確に示されないことが、確認されています。
※上記注意を守らなかったことに起因する不具合・事故につきましては、一切の責任は負いかねます。
 リファサーモは必ず使用上の注意をお守りの上ご使用ください。

4  リファサーモの特長、利用方法および異常値に対する処置 

 一般に焼成管理は、炉内の温度を熱電対や光高温計で測定することで定常状態を維持するという方法が用いられますが、温度センサーを用いる方法は、温度以外の重要な要因を管理することができず、また、こうした測定器自身の校正が困難であることもよく知られています。
 リファサーモと類似したセンサーとして、「ゼーゲルコーン」や「オートンコーン」があります。これは、斜四角錐形状をしており、先端の細い部分が溶けて曲がる溶倒現象を利用しているため、数値化できませんでした。
 リファサーモは、収縮現象を利用しているので熱履歴を数値で表すことができ、したがって異常の検出感度が改善されています。管理図などの手法を利用すれば、さらに異常の検出感度は高くなります。
 リファサーモは熱履歴センサーであり、単なる温度センサーではありません。収縮に異常があった場合、熱履歴全体として異常があったことを検出できます。異常の原因として、「3.リファサーモと焼成条件」で挙げた諸条件が変動している可能性がありますので、確認実験をする必要があります。リファサーモは、通常の温度管理が為されていることを前提として、熱履歴の異常を正確に検出できる熱履歴センサーであるといえます。

主な使用例
同一炉内の温度分布(炉内位置による温度差異)
炉の違いによる差異の確認(同種炉間、異種炉間の差異の検出)
焼成量の影響、差異(被焼成物量の多少による差異の検出)
試作(実験→量産試作→量産化 移行時における各ステップの差異の検出確認)
加熱方式、伝導モードの差異
炉、焼成工程の日常管理、経時変化の把握、異常の早期発見
外注工程の把握(リファサーモを製品と同時に焼成させて、受入時に寸法をチェックして確認)
品質管理(製品と同時に焼成しx−R管理図などに利用)
連続炉、トンネル炉等の日常的な焼成条件の把握、焼成工程の標準化に利用

5  リファサーモの品質保証思想 

 リファサーモの特性を評価する上で、焼成条件は重要なので、前述した条件に固定されていますが、焼成炉の校正、熱電対の検定だけで、常に同じ焼成条件を維持しているとは限りません。即ち、通常の温度管理をいくら厳密にしても、完全な焼成管理ができないことが、正に実用標準物質リファサーモの存在理由であるといえます。
 いい変えれば、通常の熱電対、電気計器などによる温度管理には限界があり、永続的に同じ焼成条件を維持し続けることは、ほとんど不可能であると考えられます。
 そこで、常に実用標準物質リファサーモの特性の正確な評価を永続的に維持するために、タイプ毎に基準となるロットを選定し、マスターロットとして保管します。
 そして、管理校正された焼成炉、熱電対を用いて、マスターロットの保持温度に対する寸法を測定します。50℃間隔で焼成し、保持温度対収縮後の寸法を表す曲線を作成します。
 新規のロットは、必ずマスターロットと同時に焼成し、新しいロットの収縮量はマスターロットの収縮量と比較されます。こうすることにより、マスターロットとほぼ同じ特性のリファサーモを半永久的に供給し続けることができます。

6  リファサーモの使用温度範囲、指示温度精度およびリファサーモ指数 

6-1 リファサーモの使用温度範囲と指示温度精度

略号 使用温度範囲 指示温度精度
H 1400〜1700℃ ±10℃
M 1200〜1500℃ ±10℃
L 1050〜1300℃ ±10℃
L1 800〜1150℃ ±15℃
L2 600〜900℃ ±15℃


6-2 リファサーモ指数

 リファサーモはゼーゲルコーンの溶倒温度に相当する量として、リファサーモ指数という量を考えます。リファサーモ指数とは総合的な熱履歴を表す量であり、必ずしも物理的な温度ではありません。リファサーモ指数という量を指示温度としております。
 例えば、リファサーモHタイプを、保持温度1600℃の所定の焼成条件で加熱処理した場合、寸法は、20.50mm付近になります。同じように、1400〜1700℃の範囲において焼成評価を繰り返し、保持温度と寸法の関係のグラフを作成することができます。このとき、寸法に対する保持温度をリファサーモ指数といい、「RT-1600」というように無次元で表します。「RT」はリファサーモを表し「1600」は保持温度(℃)を表します。

7  リファサーモの適正タイプの選定方法 

 リファサーモの使用温度範囲の目安を(6)に前述しましたが、使用温度だけでは選定を誤ることがあります。
 大気中2時間保持であれば、使用温度範囲の目安に準じて選定することができます。たとえば、1350℃ならばMタイプ、1150℃ならばLタイプになります。1250℃の場合は、ユーザーの実際の焼成条件でMタイプとLタイプをそれぞれ焼成し、その寸法が換算表の中央に近い方のタイプを選定します。
 次に、大気中で、保持時間が異なる場合について説明します。保持時間が、2時間よりも長い場合は、高温タイプ側へ、2時間よりも短い場合は、低温タイプ側へ適性タイプがシフトします。たとえば、1250℃で30分保持ならば、MタイプよりもLタイプの方がより適正なタイプと考えられます。
 雰囲気が大気でない場合、温度と保持時間から推定し、実際にその条件でテストする必要があります。

8  収縮後の寸法(グラフ)

グラフ

実際の対応は製品に同封してあります「寸法 - 指示温度対照表」を使用して下さい。

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