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窒化ケイ素α→β相変態界面の高分解能電子顕微鏡観察



はじめに:
 窒化ケイ素セラミックスは難焼結材であるため、焼結の際には一般的に少量の酸化物を焼結助剤として添加する。焼結中にα相からβ相への相変態が起こるが、これは従来酸化物の液相を介した溶解再析出機構によるものと考えられていた。本研究では、助剤を用いることなしに,高純度のα型窒化ケイ素粉末に熱処理を施し、β化させた粉末を電子顕微鏡により観察し、α→β相変態メカニズムの微細構造解析を行った。



実験方法:
 高純度α型窒化ケイ素(宇部興産製 E-10)をN2ガス1MPa雰囲気下、1900℃10hの条件で熱処理を施し、約50%をβ化させた。この粉末をエポキシ系樹脂に埋め込み、イオンシニングにより薄片化したものを断面観察試料とした。観察には高分解能透過型電子顕微鏡(トプコン製 EM-002B、加速電圧200kV)を用いた。



結果:
 粉末のβ化の状態は粒径によって差があり、大きな粒子はα、粒径の小さなものは完全にβ化しているものが多く観察された。これらの中に同一粒子中に著しく異なったコントラストを示す部分を持ったものが観察される(図1)。この粒子のa部およびb部から撮った電子線回折パターンの解析により、a部はβ型窒化ケイ素、b部はα型窒化ケイ素と同定された。これは、α相粒子中にβ相の核が形成された初期状態である。図2にα相とβ相の界面の[11-20]方向から観察した高分解能電子顕微鏡像を示す。これより、界面はアモルファス相を介さずに直接、接合しており、2相間には[0001]α//[0001]β、(10-10)α//(10-10)βなる方位関係がある。また、α/β界面の矢印で示した部分はαともβとも違った乱れた構造を示している。図3はαおよびβの[11-20]方向から投影した構造モデルである。α相とβ相の違いは(0001)面上の積層面の順序で、α相が--ABCDABCD--であるのに対し、β相は--ABABA--の順である。α相とβ相のAB層はほぼ同じ構造を有しており、写真の構造のみだれた遷移領域は、α相のCD層の原子が数原子層の幅でβ相構造へと再配列する途中の状態である。 以上より、窒化ケイ素のα→β相変態は相界面の局所的な原子の移動により生じ、必ずしも液相を介す必要のないことが明らかとなった。


図1
図1 図1 図1

図1.α相中にβ相が形成された粒子のTEM像と電子線回折パターン



図2
図2
図2

図2.α/β相界面の高分解能TEM像



図3 図3

図3.α相・β相の[11-20]方向から投影した構造モデル
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