2013年度

JFCC研究成果集

未来開拓研究による環境・エネルギーへの挑戦

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2013-3

カチオン欠損を利用した耐熱性酸化物の低熱伝導化と構造安定化


技術のポイント

フォノン散乱による低熱伝導化の観点から、多量のカチオン欠損を有する耐熱性酸化物を選定

基礎研究


背景
ガスタービン等の高温の燃焼ガスに曝される機器・部品において、一層の高効率化・長寿命化を図るためには、遮熱コーティング構成素材に、耐熱性に優れる低熱伝導性酸化物を適用するのが有効である。

目的
有効原子体積等の物性データを基に、低熱伝導性に優れる酸化物を選定すると共に、その酸化物にドーパントを添加することで、さらなる低熱伝導化と構造安定化を図る。

成果
(1) 最小熱伝導率kmin(計算値)と弾性率/密度比(E・ρ-1)の関係より、結晶中の隙間が非常に大きいカチオン欠損型酸化物(YTa3O9)が低熱伝導性に優れることを予測すると共に、その特性が実際に従来材よりも優れることを実証(実験値)した(図1)。
(2) YTa3O9のTaサイトの一部をZrに置換することで、さらなる低熱伝導化と構造安定化(高温相の安定化)を達成した(図1、2)。


図1. 耐熱性酸化物の熱伝導率
図2. YTa3O9系酸化物の熱膨張特性



今後の展開
計算機シミュレーションを活用した
YTa3O9系酸化物の低熱伝導機構の解明
YTa3O9系酸化物と既存の遮熱コーティング
(TBC)材成分との反応性評価
YTa3O9系酸化物を含むTBC構造を提案

参考文献 特願2012-283602、2013-119271
謝辞 本研究は、中部電力(株)からの委託研究として実施したものである。



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