2015年度

JFCC研究成果集

次世代を支える新材料開発と先端解析技術

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2015-1

酸素トレーサーを用いたアルミナ膜中の物質移動解析


技術のポイント

酸素トレーサーを用いて、高温の酸素ポテンシャル勾配下に曝されたアルミナ膜中の物質移動を評価・解析

基礎研究


背景
高温の燃焼環境下に曝される耐熱合金の耐久性を向上させ、かつ、効果的に運用するためには、合金表面に形成するアルミナ保護膜を介した物質移動を定量的に評価し、その環境遮蔽機構を明らかにすることが重要である。

目的
高温酸素透過法により、アルミナ膜の粒界を介した物質移動に及ぼす酸素ポテンシャル勾配や水蒸気共存の影響を明らかにする。

成果
(1) 酸素ポテンシャル勾配の印加により、高酸素分圧側表面近傍の酸素の粒界拡散が抑制され、“電子的伝導性” を示すことがわかった。
(2) 酸素の粒界拡散は、高酸素分圧側雰囲気中のH2Oにより促進され、反対にD2Oにより抑制される事が明らかとなった。
酸素トレーサーを用いた高温酸素透過試験と二次イオン質量分析(SIMS)との併用により、世界で初めてアルミナ膜中の物質移動機構を厳密に解明!


多結晶アルミナの粒界拡散係数の
膜厚方向分布(1600℃, Dry環境)
多結晶アルミナ膜断面の高酸素分圧側表面近傍の
18O濃度分布 (SIMS, 1600℃×1h, Pi (hi)=104Pa)



期待される適応分野
高温の酸素・水蒸気環境下において優れたガスバリア性、構造安定性を発現する酸化物膜の開発
高温における輸率の測定

参考文献 [1] M. Wada, et al., J. Ceram. Soc., Jpn., 119, 832 (2011) DOI: 10.2109/jcersj2.119.832
[2] T. Matsudaira, et al., J. Am. Ceram. Soc., 96, 3243 (2013) DOI: 10.1111/jace.12420
謝辞 本研究は、JSPS科研費「新学術領域研究ナノ構造情報(25106008)」の一環として実施したものである。



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