2016年度

JFCC研究成果集

新たな価値を創出する革新材料開発と先端解析技術

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R-7
2016

高温におけるAl系酸化保護膜の物質移動機構


技術のポイント

酸素透過法と酸素トレーサー法の併用により、酸化物膜中の物質移動を定量的に評価・解析

基礎研究


背景
航空機エンジン等の高温過酷環境下で使用される耐熱部材の長期使用を可能にするには、優れた酸化保護膜の付与が不可欠であるが、部材の使用限界把握や耐久性向上に不可欠な膜中の物質移動機構は明らかでない

目的
酸化保護膜のアルミナ、ムライトについて、膜中の粒界拡散係数に及ぼす高温の酸素ポテンシャル勾配(dμO)の影響を解明する

成果
(1) 電気化学的手法を用いずに、 高温dμO下に曝された酸化物膜の輸率を決定する手法を構築(アルミナ膜:電子伝導、ムライト膜:イオン伝導)
(2) 酸素欠陥濃度が小」のアルミナ膜の場合は、dμO印加により形成される膜厚間の“電場”によって、PO2(hi)表面近傍の酸素の粒界拡散係数が低下。一方、「酸素欠陥濃度が大」のムライト膜の場合は、dμO印加による“電場”形成にも関わらず酸素の粒界拡散係数は一定
GaNデバイスにおけるナノスケールの電位分布計測技術が確立


アルミナの粒界拡散係数の膜厚方向分布(1600℃)
ムライトの粒界拡散係数の膜厚方向分布(1600℃)



期待される適応分野
?環境遮蔽性、構造安定性に優れる酸化物膜の開発
?電気化学的手法を用いない(使用条件を模擬した)高温輸率の測定

参考文献 [1] T. Matsudaira, et al., J. Am. Ceram. Soc., 96, 3243 (2013) DOI: 10.1111/jace.12420
[2] S. Kitaoka, et al., Proc. ICACC 2016, Daytona Beach, Florida, USA (2016).
謝辞 本研究は、JSPS科研費「新学術領域研究ナノ構造情報(25106008)」、総合科学技術・イノベーション会議のSIP(戦略的イノベーション創造プログラム)「【革新的構造材料】」(管理法人:JST)、並びに、文部科学省委託事業ナノテクノロジープラットフォーム(プロジェクト番号12024046)の一環として実施したものである



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