2017年度

JFCC研究成果集

科学技術イノベーションを推進する革新材料開発と先端解析技術

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R-22
2017

Li過剰Mn酸化物薄膜の充放電挙動とナノドメイン構造


技術のポイント

走査透過電子顕微鏡を用いてLiイオン二次電池正極材料の特性向上に寄与する構造要因を解明

基礎研究


背景
Li2MnO3は、Liイオン二次電池の正極材料の一つとして知られるが、単相では電気化学的に不活性と考えられてきた。しかし、SrTiO3基板上にSrRuO3中間層を介して形成された薄膜では優れた初期充放電特性を示す

目的
球面収差補正走査透過電子顕微鏡を用いてLi2MnO3/SrRuO3/SrTiO3界面の原子構造を解析し、単相Li2MnO3薄膜が示す初期充放電挙動と構造要因との相関関係を明らかにする

成果
(1) Li2MnO3/SrRuO3界面およびSrRuO3/SrTiO3界面では互いの格子ミスフィットが最も小さくなる方位関係が優先的に現れることを確認
(2) 単相Li2MnO3薄膜は、大きさ約5nmのナノドメインによって構成され、そのドメインサイズは格子ひずみが許容できる臨界値以下
優れた充放電特性を発現する正極材料の構造要因を解明


(a) コインセルの定電流充放電カーブ
膜面に垂直な方向から投影した
(e) Li2MnO3結晶、(f) SrRuO3結晶の原子配列
(b) 環状明視野像、(c) Li2MnO3/SrRuO3界面
(d) SrRuO3/SrTiO3界面の電子線回折図形
膜面に垂直な方向から観察したLi2MnO3薄膜の
(g) 高角度環状暗視野像、 (h) 環状明視野像



期待される適用分野
・高性能Liイオン二次電池の材料開発
・革新電池の材料開発

謝辞 本研究は、NEDO「革新型蓄電池実用化促進基盤技術開発(RISING II)」として実施したものでる



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