2020年度

JFCC研究成果集

マテリアル革新力を支える新材料開発と先端解析技術

3研究成果 / 次世代エネルギーデバイス

R-16

2020

次世代蓄電池負極MgF2のSTEM EELSを用いた電極反応解析

課題

・フッ化物イオン移動を利用したフッ化物シャトル二次電池は高エネルギー密度を達成できる可能性があり、次世代蓄電池として研究が進められてきている。

・電極内部での脱フッ化およびフッ化挙動に関しては未解明な部分が多く、その反応機構に基づく最適な電極設計への指針が確立できていない。

解決手段

走査透過電子顕微鏡(STEM)とモノクロメータを用いた電子エネルギー損失分光法(EELS)により、電極反応を解析

成果・優位性

・モノクロメータを用いた電子エネルギー損失分光法により、Mg金属の情報を効率的に抽出することで電子線に弱い電池材料の解析手法の構築に成功

・MgF2負極の一部からMg金属相が形成され、また、その形成分布は均一ではなく、離散的に存在していることが明らかとなった。

・実験方法:走査透過電子顕微鏡、モノクロメータによる電子エネルギー損失分光法

フッ化物シャトル電池の模式図
(M1, M2は金属、Fはフッ素)
脱フッ化後のMgF2負極内のMg金属形成分布
(矢印はMg金属形成箇所)

期待される市場・応用

・電極内部の脱フッ化・フッ化のメカニズム解明による電池特性向上

・フッ化物シャトル電池実用化による電気自動車の走行距離の大幅な向上

謝 辞:本研究は、NEDO「革新型蓄電池実用化促進基盤技術開発(RISING2)」で実施されたものである。