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<< 戻る 2008年4月30日


超小型電磁気変換デバイスの作製と電子線ホログラフィによる定量評価


概要
 財団法人ファインセラミックスセンター(JFCC)は、最新の電子顕微鏡技術を用いて、世界最小となる超小型電磁気変換デバイス(ソレノイド)を開発することに成功した。デバイスの元となるコイルはカーボンマイクロコイル(CMC)を用いた。集束イオンビーム(FIB)装置を用いてこのコイルに金電極配線することにより、超小型のデバイスを作製、電子線ホログラフィにより電磁気変換デバイスとして機能することを確認した。

内容
 FIB装置は、高エネルギーのガリウムイオンビームを用いて、透過型電子顕微鏡(TEM)用の薄片試料を迅速に作製する装置である。この装置を用いると試料の薄片化だけでなく、「マイクロサンプリング」と呼ばれる手法で観察したい部分を大きな試料から切り出したり、その試料に電気配線したりすることができる。図1 (a)は、無数にあるCMCの束から一本だけを取り出し、その両端に金電極を配線した像である。このデバイスは、TEM用の電圧印加ホルダーに直接取り付けてあるため、TEM内で電流を流すことができる。図1 (b)にTEMで観察した像を示す。
 電子線ホログラフィは、微小領域の電場や磁場を直接観察することができる特殊な電子顕微鏡技術であり、この技術を用いて電流によって発生した磁場を直接観察した。図2 (a)、 (b)は、デバイス先端から漏れ出た磁場の様子である。導入した電流量に従って発生している磁力線が密になっており、磁場が強くなっていることを示している。
 図3に、導入した電流に対する測定磁場のグラフを示す。実線は理論によって計算された磁場である。理論通りに磁場が発生し、電磁気変換デバイスとして機能していることが証明された。今後、このデバイスをマイクロマシンのアクチュエーターや、電子顕微鏡用マイクロ磁場発生装置として応用されることが期待される。

発表・受賞
1. K. Yamamoto, T. Hirayama, M. Kusunoki, S. Yang and S. Motojima, Ultramicroscopy, 106 (2006) 314.
2. JFCC NEWS No.89 (2008) 5.
3. 日刊工業新聞, 2008年4月30日付 掲載
4. 日本セラミックス協会 2008年 学術写真賞(最優秀賞)受賞


図1 FIBマイクロサンプリング技術を用いて作製した超小型電磁気変換デバイス
   (a) 二次イオン顕微鏡像,(b) TEM像


図2 電子線ホログラフィを用いて,コイル先端で直接観察された磁場
   導入電流:(a)4.5 mA,(b) 14.0 mA。
   電流の増加に伴って,磁力線が増えていることがわかる。


図3 導入電流ー計測された磁束量
青実線は、理論値。


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