<< 戻る | 2010年2月9日 |
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1. 概要 JFCCでは、名古屋大学・名古屋工業大学・太陽化学・ウクライナの半導体研究所と共同で、太陽と似通ったスペクトルの白色発光を呈する生体安全性の高いシリカベースの白色蛍光体の開発に成功した。本材料は豊富な元素であるSi、C、Oから構成され原料枯渇が心配される希土類元素を含まない。また、製法も単純かつ環境負荷が小さく量産に適している。さらに、紫外線遮蔽効果があり、生体安全性も高いと考えられるため、化粧品への適用も期待される。 2. 内容 現在広く用いられている蛍光灯および今後の飛躍的拡大が見込まれる照明用白色LEDは蛍光体を利用する。この蛍光体にはユーロピウムやテルビウムなどの希土類元素の添加が必須であるが、これらの希土類は輸入に依存した資源であり、将来にわたる安定供給が危ぶまれている。 また、紫外線遮蔽材としては、化粧用途のサンクリーン剤やUVカット繊維、食品の光劣化防止用包材など、多種多様である。近年、オゾン層の減少の影響から地上に降り注ぐ紫外線の増加が指摘されており、紫外線による皮膚ガンの罹患率増加や、肌の光老化などの健康被害が大きな問題となっている。さらに現行の紫外線遮蔽材には、皮膚刺激性や感作性の問題が指摘されているなど生体安全性に不安がある。 上記研究グループは多孔質シリコンを出発材料とし調整雰囲気下で熱処理を加えるという単純な方法でカーボンクラスタ含有SiO2が作製され、紫外線照射下で太陽光に近い白色発光を呈することを見出した。さらに、構造が安定で大きな表面積を有するポーラスシリカ内壁に前記の白色発光源を付与することで輝度の高い発光粉体の作製にも成功し、紫外線励起で白色発光を呈すること、紫外線遮蔽効果があることを確認した。本材料はSi、O、Cというありふれた材料からなり、希土類元素を必要としない。また合成手法も調整雰囲気下で加熱するだけという単純かつ環境負荷が小さく、量産に適している。天然資源に乏しい我国にとって有用な技術となり得る。さらに、無機系材料でありながら紫外線吸収する特性を有し、シリカ系からなる事から生体安全性が高いと推量され、化粧品への適用も期待される。 3. 用語の説明 ・カーボンクラスタ カーボン原子が数から数十個程度結合した物 ・ユキビタス元素 地球上に豊富に存在するありふれた元素 |
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