< 概要 >
住宅・ビルなどに用いる画期的な断熱材料を開発するために、ナノ多孔質シリカ粒子、ナノ多孔質シリカ透明体、ナノ構造制御コーティング膜の要素材料を開発した。さらに、これら要素材料とポリマー、ガラスを複合化(真空封入)した超断熱壁および窓材料を開発した。これらを建物に適用した場合、冷暖房エネルギーコストを半減できる可能性がある。また、この新断熱材料は家電製品、輸送機器、エネルギー貯蔵など広い分野に波及することが予想され、地球温暖化対策に大いに貢献できると期待されている。
住宅・ビル等の冷暖房によるエネルギー消費(日本の総エネルギー消費の8%)の低減(省エネ)は我が国が今後取り組まなければならない最重要課題の一つである。住宅・ビル等の断熱性を高めることは最も省エネ効果のある方法であり、壁や窓に用いる画期的に断熱性が優れる材料(超断熱材料)の開発が求められている。また、住宅・ビルの省エネだけでなく、家電製品、輸送機器、エネルギー貯蔵などに用いる超断熱材料の開発も望まれている。
そこで本プロジェクト「マルチセラミックス膜新断熱材料の開発」では、格子振動・対流・輻射のいずれのメカニズムによる伝熱も抑えるマルチセラミックスを開発し(図1)、かつポリマー、ガラスとの複合化技術を開発した。
超断熱材料を構成する三種の要素材料を開発した(図2)。(a)はナノ多孔質シリカ粒子であり、(b)はナノ多孔質シリカ透明体、(c)はナノ構造制御コーティング膜である。10Paの真空圧力において、ナノ多孔質シリカ粒子は約0.003W/mKという低熱伝導率であり、一般的な断熱材の熱伝導率0.03W/mKと比較して10倍以上の断熱効果を有している。これらの要素材料と、ポリマーシート、ガラス板を複合(真空封入)させて、超断熱壁および窓材料のサンプルを作製した(図3)。
これらの新断熱材料を、壁や、天井、窓、床に適用すれば、断熱効果が飛躍的に高い建物を構築することができ、冷暖房コストの半減を達する可能性がある。この新断熱材料は家電製品、輸送機器、エネルギー貯蔵など広い分野に波及することが期待され、地球温暖化対策に大いに貢献できると考えられる。 |