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<< 戻る 2012年6月20日


過熱水蒸気を利用した炭素繊維強化プラスチックのリサイクル技術を開発 〜 画期的なリサイクル技術で炭素繊維の回収に大きく貢献 〜


本研究成果は、7月6日(名古屋:愛知県産業労働センター(ウインクあいち))及び
7月12日(東京:東大武田ホール)に開催するJFCC/2012年度研究成果発表会で発表いたします。
 このたび、愛知県「知の拠点」重点プロジェクトの一環として、(財)ファインセラミックスセンター(名古屋市)は、 (株)大同(多治見市)と大同大学(名古屋市)と共同で、「高温過熱水蒸気を利用した炭素繊維強化プラスチックからの繊維回収技術」を開発いたしました。

 炭素繊維強化プラスチック(CFRP)は、軽量かつ高強度・高剛性であることから、航空機、自動車、風力発電をはじめとした産業用途への大幅な需要拡大が予想されております。その一方で、CFRPの製造にかかるコストが高いことや、今後、廃棄物量が飛躍的に増大することが懸念されており、高効率なCFRPのリサイクル技術の開発が不可欠となっております。このような背景のもと、高温過熱水蒸気を利用したCFRPからの炭素繊維回収技術の開発を行いました。

 過熱水蒸気とは、飽和水蒸気を沸点以上に加熱した蒸気のことで、民生用の調理器具等、食品分野をはじめとした生産プロセスの効率化や省エネ化を推進する技術として、幅広く利用されております。また、500℃以上の高温の過熱水蒸気については、畜糞や食品残渣の炭化、減容、脱臭をはじめとした廃棄物処理にも有効な技術として知られており、近年、低環境負荷型の新しい熱処理技術として注目を浴びております。

 過熱水蒸気を利用するさらなる利点として,酸素濃度が低い状態での熱処理が可能であるということが挙げられます。したがっ、CFRPを処理する場合、繊維の酸化劣化を防ぎ、樹脂だけを効率的に除去できることが期待されます。実際に、熱可塑性樹脂のひとつであるポリアミド66を母材とするCFRPを500度以上の過熱水蒸気で短時間処理することにより、織物状態で繊維を回収することに成功しております(図1,2)。さらに、過熱水蒸気処理によって回収した繊維は、他の熱処理法と比較して、強度の低下とそのばらつきが小さいことを明らかにしております(図3)。

 今後は、過熱水蒸気処理により繊維回収が可能な樹脂種を明確化するとともに、回収した繊維と樹脂間の密着性を向上させる技術開発を進めることで、「繊維回収」と「接着剤を使わない繊維表面の改質」を同時に行うことのできる革新的なリサイクル技術の開発を目指したいと考えております。


【参考図】

図1 CFRPの樹脂除去率と過熱水蒸気処理温度との関係 図2 過熱水蒸気処理(500℃)前後のCFRPの外観写真


図3 500℃の過熱水蒸気および他の熱処理法で処理したCFRPから回収した繊維の引張強さ

<本研究に関する問い合わせ>

(財)ファインセラミックスセンター 材料技術研究所 リライアブル・マテリアルグループ 和田 匡史
Tel : 052-871-3500、Fax:052-871-3599
E-mail : m_wada@
(※メール発信は@の後ろに jfcc.or.jp を付けて送付ください)

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(一財) ファインセラミックスセンター 研究企画部
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