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2014年11月7日


SIP/エネルギーキャリア「太陽熱を利用した水素製造に関する基幹部材開発」 〜 水素製造にも適用可能な高効率太陽熱利用システムのための集熱管を開発 〜


1.研究開発の背景
(1) エネルギーの大半を海外からの化石燃料に頼っている日本にとって、その依存度を低減してエネルギーセキュリティを高めるとともに、CO2削減により地球温暖化防止に貢献できる社会の構築が重要。
(2) 「SIP/エネルギーキャリア」は、海外において太陽光等の再生可能エネルギーを起源として水素等を効率的に製造し、アンモニア(NH3)等の可搬性に優れた「エネルギーキャリア」として日本へ輸入して発電システムや水素ステーション等へ供給する、といった一貫した「クリーンエネルギーシステムの確立」を目指す。
(3) 本研究開発はその一部として高効率太陽熱利用システムを開発。太陽熱利用システムそのものは、世界的にすでに約400℃以下の太陽熱発電プラントなどが稼働しているが、本研究開発で目指す水素製造には、トラフ(雨どい)型(図1参照)プラントで650℃以上という高温下での高い変換効率が必要。
(4) さらに、アンモニア製造プラントの規模を想定すると、長さ4mの集熱管が数十万本も必要となり、経済性に優れた大量生産プロセスの開発が課題。


図1. 太陽熱利用システムのイメージ図

2.研究開発の内容
(1) 本研究開発の目的は、水から水素を取り出す化学プロセスに用いるための熱エネルギーを太陽光から作り出す集熱管(レシーバ)の開発
(2) この集熱管をトラフ(雨どい)形状のミラー等と組み合わせ、太陽光を集熱管に集光させることで高温に加熱し、その管に熱媒体を流して熱エネルギーを回収。
(3) 集熱管は、金属管の円周面上に「セラミックス複合膜」を形成させ、熱の逃げを抑えるためにガラス管で囲んだ真空断熱構造。
(4) 太陽光を熱に80%以上の高効率で変換できるセラミックス複合膜を用いた集熱管の製造プロセス開発を目指す。
(5) ファインセラミックスセンター(JFCC)は、セラミックス光学薄膜の合成技術および評価技術を基盤として、高温高効率の太陽光吸収膜の高速成膜プロセス開発や集熱管を構成する各要素材料の評価解析を担当し、集熱管を共同開発。

3.研究開発の実施方法
(1) 研究開発体制
ファインセラミックスセンター(JFCC)は、本プロジェクトの研究代表機関となる株式会社豊田自動織機と共同して本研究を実施。
(2) 研究開発予算(エネルギーキャリアのテーマ全体)
 29億円(2014年度)

4.補足
(1) 本研究開発は、水素を基軸としたエネルギーの製造・搬送・利用を目的とした「SIP/エネルギーキャリアプロジェクト」のスタート地点。独立行政法人科学技術振興機構(JST)からの委託業務として実施。


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