2016年度

JFCC研究成果集

新たな価値を創出する革新材料開発と先端解析技術

研究成果/信頼性・機能評価 研究開発トップへ 2016年度の一覧へ

R-29
2016

BaTiO3薄膜中のナノドメイン構造観察


技術のポイント

10ピコメートル以下の高精度変位計測技術によりBaTiO3薄膜中のナノドメイン構造観察に成功した

基礎研究


背景
高温領域で動作可能なキャパシタとして期待されているエピタキシャルBaTiO3薄膜中のドメイン構造は未だ解明されていない

目的
走査型透過電子顕微鏡(STEM)を用いてBaTiO3薄膜中のTiイオンとBaイオンの変位量を計測しドメイン構造を明らかにする

成果
(1) 高速スキャン法によりイメージドリフトを減少させ、さらに得られた像を30枚積算することでSNの良いHAADF STEM像を取得
(2) 得られたHAADF STEM像から各陽イオンサイトにおける変位解析を実施した結果、BaTiO3薄膜中では非常に微小なナノドメイン構造を形成していることを明らかにした
(3) このナノドメインはBaTiO3薄膜特有の構造であり、基板からの拘束による歪みを緩和するために形成されたと推察される


・手法: 高速スキャン積算法*、 高角度環状暗視野走査型透過電子顕微鏡法 (HAADF STEM法)

高速スキャンによるHAADF STEM像
取得のイメージ図
高速スキャンによるHAADF STEM像と変位解析による
TiイオンとBaイオン変位マップ



期待される適応分野
ドメイン構造制御による強誘電体材料開発
・キャパシタの小型化
・非鉛系強誘電体の開発

参考文献 *K. Kimoto et. al., Ultramicroscopy, 110 (2010) 778-782.
謝辞 本研究は、(独)日本学術振興会研究活動スタート支援の一部として実施したものである



研究開発トップに戻る