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<< 戻る 2010年2月9日


JFCCナノ構造研究所 新たに2台のホログラフィー電子顕微鏡を導入


 電子線ホログラフィーは、通常の電子顕微鏡法では観察が困難な「電場」や「磁場」を直接的に観察できる技術であり、企業や各研究機関などで、半導体デバイス内部におけるドーパント分布(不純物分布)の定量解析や磁性体内部の磁区構造解析に用いられています。この分野の研究に置いては、JFCCは世界をリードする成果をいくつも出してきました。このたび、2台のホログラフィー電子顕微鏡を導入しましたので、ご紹介いたします。今後、このホログラフィー電子顕微鏡は、強力磁石、磁気記録デバイス、半導体デバイス、高性能二次電池等などこれからの社会に必要不可欠である重要な工業製品の開発に役立てていく予定です。


世界最高レベルの電場解析用ホログラフィー電子顕微鏡を新規導入

 現在、最先端機器に使用されている電子デバイス(トランジスタなど)は、ナノメートル領域で複雑な設計が施されており、革新的な新規デバイスを開発する上で、電位分布を高分解能かつ高感度に計測することが要求されます。今回導入された電場解析用ホログラフィー電子顕微鏡の特長は以下の通りです。

特長: ? 高感度な電場解析が可能
? 質がよく大変明るい電子ビーム
  (空間干渉性が良く、輝度が高い電子源)
用途: ? 半導体のドーパント分布観察
? リチウムイオン電池のイオン分布動的解析

 新しい設計の結果、従来の電子線ホログラフィー顕微鏡に比べて約2倍もの性能(電子波の干渉性が世界最高レベル)を持ち、微弱な電位分布をナノ領域で高感度に計測することが可能となりました。また、ナノ領域に局所的に電圧を印加したり、試料温度を変化させたときの観察もでき、生きたデバイスの評価をすることが可能になりました。今後、本装置をリチウムイオン電池の開発研究に役立たせる予定です。特に、この新しい電子顕微鏡を用いて、いままでは困難であった「リチウムイオン分布の動的観察(イオンが動く様子の観察)」を実現させる計画です。

電場解析用ホログラフィー電子顕微鏡外観
電磁気的外乱を抑制するため、部屋全体を2重のパーマロイ(磁気シールド材料)で取り囲み、さらに電子顕微鏡本体をパーマロイで作った大型ケースに入れて磁気シールドしています。


高精度元素分析可能な磁場解析用ホログラフィー電子顕微鏡を新規導入

 磁性体材料は、現代社会において重要な役割を果たしています。とくに、強力な永久磁石は軽くて強いモーターを実現し、高性能な磁気記録媒体はコンピューターに大きな記憶容量を持たせることに貢献しています。このような分野では、ナノ領域の磁力線を観察する顕微鏡技術が製品の開発に役立つと考えています。今回導入された磁場解析用ホログラフィー電子顕微鏡の特長は以下の通りです。

特長: ? 高感度な磁場解析が可能
? 元素分析感度が世界一優れている
  (X線検出立体角:0.5str、通常は0.13str)
用途: ? 強力磁石の磁力線解析
? 磁化反転起源や磁力線ピンニング点の同定
? 磁気記録媒体の不良解析

 この電子顕微鏡は上記の通り、磁力線を直接観察することができるとともに、世界最高の元素分析感度を持つため、磁性体物理の研究とともに様々な磁性体製品の開発に役立てる予定です。

磁場解析用ホログラフィー電子顕微鏡外観


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