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発表概要

 技術開発競争が激化している非鉛強誘電体材料であるが、更なる高性能化に向けて高圧電定数材料が盛んに研究されている。JFCCナノ構造研究所森分博紀グループ長、東京工業大学伊藤満教授らの研究グループは、第一原理計算を呼ばれる理論計算により単純なウルツ鉱型結晶構造酸化亜鉛の強誘電体として機能することを明らかにした。
 この成功を契機として、これまで強誘電体材料としてはぺロブスカイト型結晶構造など酸素八面体からなる物質群が主に研究対象とされてきたが、酸素八面体を有しない単純なウルツ鉱型結晶構造酸化亜鉛の強誘電体として機能することが明らかになり、新たな強誘電体材料メカニズム解明の研究が促進され,高性能非鉛圧電材料開発のブレークスルーになることが期待されている。
 本研究の成果は、アメリカ学術誌アプライドフィジクスレターズ(Applied Physics Letters)電子版6月20日に掲載された。

発表内容

 チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)をはじめとする強誘電体材料は、不揮発強誘電体メモリー、携帯電話やパソコンのフィルターやアクチュエーターとして広く用いられている。その材料の多くに鉛が用いられていた。近年では環境問題から鉛を含有しない非鉛強誘電体材料の研究開発も盛んに行われており、世界各国でその開発技術競争が激化している。更なる高性能化に向けて非鉛強誘電体材料が盛んに研究されているが、高い性能を有する強誘電体材料の多くが酸素八面体からなるぺロブスカイト型結晶構造及びその類似構造を有していた。これらの材料群はこれまでの材料研究により詳細に調べつくされており,新たなブレイクスルーの為には,酸素八面体を有しない結晶構造での強誘電体材料の発見が望まれていた。今回、同グループは、酸素八面体を有しない単純なウルツ鉱型結晶構造に着目し、その強誘電材料としての可能性を第一原理計算と呼ばれる理論計算手法により検討した。その結果、強誘電体としての必要特性である分極反転障壁がZnOにおいて、代表的な強誘電体であるチタン酸鉛(PbTiO3)と同程度になることを突き止めた。
 本結果により、酸素八面体を有しない単純なウルツ鉱型結晶構造等での強誘電材料開発の可能性の一端が原子レベルで明らかになったことを受け、この分野の研究が促進され、高性能非鉛強誘電体材料開発にさらに拍車がかかるものと期待されている。

本成果の発表

 本研究の成果は、アメリカ学術誌アプライドフィジクスレターズ(Applied Physics Letters)電子版6月20日に掲載された。

キーワード

非鉛強誘電体材料
酸化亜鉛(ZnO)
ウルツ鉱型結晶構造
第一原理計算
JFCCナノ構造研究所

図1. ウルツ鉱型ZnOの原子構造における分極反転機構
図2. ZnO分極反転障壁計算結果
代表的な強誘電体材料であるPbTiO3と同程度の分極反転障壁を有する

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研究担当者
ナノ構造研究所 計算材料グループ 森分 博紀(もりわけ ひろき)