2012年度

JFCC研究成果集

未来開拓研究による環境・エネルギーへの挑戦

燃料電池・環境調和材料 研究開発トップへ この分野の一覧へ 2012年度の一覧へ

2012-3

過熱水蒸気による炭素繊維強化プラスチックからの繊維回収


技術のポイント

低環境負荷型の熱処理により、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)からの長繊維回収が可能

実用化研究


背景
軽量かつ高強度・高剛性のCFRPは、航空機、自動車、風力発電等をはじめとした産業用途への大幅な需要拡大が見込まれている。

目的
CFRPの[低コスト化]と[将来の廃棄物量の飛躍的増大]を同時に解決するために、過熱水蒸気を利用した低環境負荷型の熱処理により、CFRPから炭素繊維を織物状態で回収するリサイクル技術を開発する。

成果
(1) CFRP(樹脂:Polyamide 66)を500℃以上の過熱水蒸気で短時間処理することにより、長繊維回収が可能である。また、織物状態で回収できることから、材料トレーサビリティを確保することが可能である。
(2) 過熱水蒸気処理により回収した繊維は、他の熱処理法(大気中、Ar中)に比べ、強度の低下とそのバラツキが小さい。


供試材
 CFRP:50×15×1mm [綾織、4層]
 ・繊維:東レT300 (繊維比率 = 47vol%)
 ・樹脂:Polyamide 66
      -[-NH-(CH2)6-NH-CO-(CH2)4-CO-]n-
 ・沸騰水吸水率:4.1%(樹脂換算)
熱処理雰囲気 引張強さ*, GPa ワイブル係数
処理前 3.0 6.0
過熱水蒸気 3.0 7.2
大気 2.5 3.5
Ar 3.0 4.2
*尺度母数

図1. 樹脂除去率と過熱水蒸気処理温度の関係
図2. 各種熱処理により回収した単繊維の引張強さ



今後の展開
・繊維回収可能な樹脂種を明確化
・回収繊維−樹脂間の密着性向上
サイジング剤フリーの革新的リサイクル技術を確立

謝辞:本研究は、愛知県「知の拠点」重点研究プロジェクトの一環として実施したものである。



研究成果トップに戻る この分野の一覧に戻る 2012年度の一覧に戻る