2012年度

JFCC研究成果集

未来開拓研究による環境・エネルギーへの挑戦

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2012-6

ゼロ温度係数ウイルマイト基板のミリ波誘電特性評価


技術のポイント

ミリ波ネットワークアナライザを用いて、電子回路基板等のミリ波帯における基板の誘電特性を評価



背景
自動車等に搭載される電子機器は、-30℃以下の低温から80℃以上の高温に至る環境下で使用され、設計のためには基板材料の誘電温度特性を精密に評価する必要がある。

目的
樹脂基板を損失の小さいセラミックス基板に置き換えることにより、高周波回路基板の低熱膨張率化と高熱伝導化を図る。

成果
試料名 曲げ強度 熱膨張係数 熱伝導率 ε' tanδ Qf TCF
(MPa) (ppm/K) (W/m・K) (GHz) (ppm/K)
ウイルマイト基板 170 1.8 3.3 9.1 0.00016 101,600 ±0.5
樹脂基板の例
(ARLON社製AD1000)
75 20 0.8 10.1 0.0022 4,300 380
(1) 開発したウイルマイト基板は機械強度・熱特性および誘電特性に優れ、樹脂基板の代替えとして使用できることが示唆された。
(2) TiO2添加量の制御により、温度特性(TCF )をゼロに近づけることが可能である。

図1. TiO2添加量によるTCFの変化
HQW基板上にMSL, BPFおよび共振器を試作し特性を評価した結果、HQW基板は非常に低損失かつ温度特性が良好でありミリ波デバイス用基板として最適である
図2. MSLの周波数特性(10mm)


今後の展開
TCF測定温度範囲の拡大
LTCC基板への適応
電子デバイスの小型化・高性能化
安全性・快適性・省エネルギーに寄与

参考文献 財団法人ファインセラミックスセンター、戦略的基盤技術高度化支援事業「低熱膨張率・高熱伝導性基板等の研究開発」(経済産業省委託)平成22 年度成果報告書.
謝辞 本研究は「戦略的基盤技術高度化支援事業」の一環として経済産業省の委託を受けて実施したものである。



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