2013年度

JFCC研究成果集

未来開拓研究による環境・エネルギーへの挑戦

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2013-1

過熱水蒸気を利用した炭素繊維−樹脂間の密着性の改善


技術のポイント

N2ガスを含む過熱水蒸気で処理することにより、炭素繊維−エポキシ樹脂間の密着性が大幅に向上

応用研究


背景
炭素繊維強化プラスチック(CFRP)のさらなるコスト低減や、今後顕在化するCFRP廃棄物量の急激な増大に対処するため、低コストかつ高効率なCFRPのリサイクル技術の確立が望まれている。

目的
CFRP廃材からの「炭素繊維回収」と「繊維−樹脂間の密着性改善」が同時に達成可能なリサイクル技術開発の一環として、炭素繊維単体を過熱水蒸気処理し、繊維−樹脂間の密着性に及ぼす影響を明らかにする。

成果
(1) N2を含む過熱水蒸気で処理した場合、処理温度の上昇とともに繊維−樹脂間の密着性(界面せん断強度)が向上し、特に700℃以上の処理で、市販のサイジング繊維と同等以上の密着性が得られた。
(2) 過熱水蒸気処理により繊維表面の酸性度が増加し、そこにN2を添加することで塩基度も増加した。酸性度と塩基度の増加が、繊維−樹脂間の密着性向上に関与したものと考えられる。


図1. 炭素繊維−樹脂間の界面せん断強度と過熱水蒸気処理温度の関係
図2. 炭素繊維表面の酸性・塩基度



今後の展開
酸性度・塩基度の増加に関与した繊維表面官能基と
樹脂分子間の相互作用を解明
サイジング剤フリーの
革新的リサイクル技術を確立

参考文献 和田匡史, 河合和彦, 林一美, 北岡諭, 金属 vol. 83, 402-5 (2013).  特願2013-11908
謝辞 本研究は、「知の拠点あいち」重点研究プロジェクトの一環として実施したものである。



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