2016年度

JFCC研究成果集

新たな価値を創出する革新材料開発と先端解析技術

研究成果/耐環境性コーティング 研究開発トップへ 2016年度の一覧へ

R-10
2016

第一原理計算によるYbシリケート膜の電子特性解析


技術のポイント

第一原理計算、及び電子エネルギー損失分光を用いてYbシリケートの基礎的電子特性を解明

基礎研究


背景
次世代航空機エンジンの耐熱部材として期待されるYbシリケート膜の酸化挙動を把握するため、第一原理計算を活用することが期待される。しかし、構造設計の基礎的知見であるYbシリケート(Yb2Si2O7)単体の材料特性も、未だ十分にわかっていない

目的
Yb2Si2O7の結晶構造、及び電子状態に関する第一原理計算を実施し、STEMを用いた電子エネルギー損失分光(EELS)測定結果と比較する

成果
(1) 希土類元素Ybを含むYb2Si2O7の第一原理計算により、バンドギャップ近傍の理論EELSスペクトルが得られた
(2) モノクロメータSTEMを用いた高エネルギー分解能EELS測定により、 Yb2Si2O7のEELSスペクトルが得られた
(3) 計算・実験EELSスペクトルの比較から、バンドギャップ値、及びYb-4f 軌道に関係する特徴的な電子状態の存在が明らかになった


・手法: 第一原理PAW法(ABINITコード)、収差補正STEM-EELS
Yb2Si2O7の電子状態密度
Yb2O3、及びYb2Si2O7のEELSスペクトル(実験と計算)



期待される適応分野
欠陥状態、拡散シミュレーションによる
酸素遮蔽性の解析
耐酸化性向上設計への貢献

参考文献 T. Ogawa et al., Phys. Rev. B 93 (2016) 201107(R).
謝辞 本研究は、総合科学技術・イノベーション会議のSIP(戦略的イノベーション創造プログラム) 「革新的構造材料」(管理法人:JST)、及びJSPS科研費「新学術領域研究ナノ構造情報(25106008)」の一環として実施したものである



研究開発トップに戻る