2016年度

JFCC研究成果集

新たな価値を創出する革新材料開発と先端解析技術

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R-16
2016

Li過剰系正極活物質ドメイン境界におけるLi拡散現象の解明


技術のポイント

第一原理計算を用いてLi過剰系正極活物質中に存在するドメイン境界近傍でのLi拡散挙動を解明

基礎研究


背景
Li過剰系正極活物質Li2MnO3-LiTMO2 (TM = Mn, Ni, Co)は高い電位と大きい容量を有する。しかし、抵抗が大きいために出力密度が低い

目的
Li1.2Mn0.567Ni0.167Co0.067O2において走査透過型電子顕微鏡によって粒内に確認されたドメイン境界の構造モデルを構築し、界面がLiイオンの移動に与える影響を第一原理計算を用いて解明する

成果
ドメイン境界に対して垂直方向のLiイオンの移動エネルギーは粒内での移動エネルギーと比較して0.1〜0.3 eV程度高くなる。一方で界面に平行なLiイオンの移動は同程度のエネルギー障壁となる


・手法:第一原理PAW法(VASPコード)

ドメイン境界に(a)垂直および(b)平行な移動方向におけるLiイオンの軌跡とエネルギー変化



期待される適応分野
二次電池材料に存在する様々な界面での
電荷担体の移動エネルギーの定量評価
二次電池の出力特性向上

参考文献 Nano Lett., 2016, 16 (5), pp 2907-2915.
謝辞 本研究は内閣府・日本学術振興会「最先端研究開発支援プログラム(FIRST)」の一環として実施したものである



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