R-5 2017 耐環境性保護膜の構造安定化に関する研究 高温酸素透過法によりEBC中の物質移動機構を解明するとともに、その情報を基にEBC最適構造を提案 次世代航空機エンジン用耐熱軽量部材として期待されるSiC繊維強化SiCセラミックス(SiC/SiC)には、高温燃焼環境下において部材の表面を守り長期使用を可能にする耐環境性保護膜(EBC)が不可欠である EBC構成層であるムライト(Al4+2xSi2-2xO10-x)層に対して、高温酸素透過法により物質移動機構を解明し、酸素遮蔽性と構造安定性に優れるEBC構造を提案する 高温の酸素濃度勾配(dμO)に曝されたムライト層の損傷は、粒界を介したAlイオンの外方向拡散が一つの原因であり、損傷対策を提案 (1) ムライト層の下側にAlイオン供給機能を有するSi、Al含有結合層を配置 (2) ムライト層の上側にある程度の酸素遮蔽性を有する層(Yb2Si2O7層)を配置し界面酸素分圧を低下させることで、ムライト層中のAlイオンの流束が低下 多相積層EBCの模式図 ムライト層の構造安定性に及ぼす下地結合層の影響(1400℃×10h) ムライト層中のAlイオンと酸化物イオンの流束分布(1400℃) (下地:Si、Al含有結合層) 環境遮蔽性と構造安定性に優れる保護膜の設計 参考文献 : S. Kitaoka, T. Matsudaira et al., J. Am. Ceram.,(2017)(DOI: 10.1111/jace.14834). 謝辞 : 本研究は総合科学技術・イノベーション会議のSIP(戦略的イノベーション創造プログラム) 「【革新的構造材料】」(管理法人:JST)の一環として実施したものである