R-18 2017 ペロブスカイト系複合アニオン化合物における欠陥構造の理論解析 実験的に計測が困難なアニオンサイトにおける固溶状態を第一原理計算を用いて定量的に決定する 従来のセラミック材料では主に金属陽イオンに対する添加元素により物性制御が行われてきた。近年、陰イオン(アニオン)サイトに対する添加効果による新物質(複合アニオン化合物)の探索が注目を集めている アニオン固溶体モデルに対する系統的な第一原理計算を実行し、様々な配置におけるエネルギー状態の定量評価により実験的に決定が困難な安定な固溶状態を決定する (1) 強誘電性を発現する窒素添加チタン酸バリウム(BaTiO3-xNx)のアニオンサイトにおける窒素と酸素欠損の安定配置を網羅的な第一原理エネルギー計算により決定 窒素はTiの八面体配位多面体において、sis型(最隣接)配置をとる (2) Y添加BaZrO3における水素化物イオンの安定性を評価強還元雰囲気下では水和反応によるプロトン溶解ではなく 水素化物イオンが酸化物イオンサイトに置換固溶する 第一原理計算による複合アニオン化合物の結晶構造決定技術を確立 BaTiO3-3/2xNx中の窒化物イオンの安定配置 BaZrO3における水素欠陥の有効電荷マップ (青:正電荷、赤:負電荷)と酸素分圧依存性 複合アニオン化合物の理論計算による材料設計と物性予測 謝辞 : 本研究は、JSPS 科研費補助金(16H06440) 新学術領域研究「複合アニオン化合物の理解:化学・構造・電子状態解析」の支援を受けて行われたものである