2017年度

JFCC研究成果集

科学技術イノベーションを推進する革新材料開発と先端解析技術

研究成果/電池材料解析 研究開発トップへ 2017年度の一覧へ

R-21
2017

LiCoPO4正極膜の充放電によるナノ構造変化


技術のポイント

LiCoPO4正極材の配向膜を用いて、充放電による劣化挙動をナノ構造解析

基礎研究


背景
5V級正極材料として期待されているLiCoPO4正極材料の開発に向けて、Liイオンの拡散方向の異方性を含めた電極の構造設計、ナノレベルでの構造解析が必要となる

目的
化学溶液法により配向LiCoPO4正極膜を作製し、充放電を評価するとともに、充放電前後のLiCoPO4正極膜試料について、走査透過型電子顕微鏡を用いて構造解析を行い、劣化メカニズムを明らかにする

成果
充放電により、LiCoPO4正極膜表面から5nmの範囲で、一部のLiサイトにCoが置き換わっていること、また、PO4四面体構造が歪むことから、[010] 方向でのLiイオンの拡散が抑制されることを明確化


(a) 充放電後のLiCoPO4膜の断面の高角度環状暗視野(HAADF)-STEM像
(b) 膜表面 (c) 膜内部 (d) 観察方位の原子配列
(e) 充放電前後のLiCoPO4膜の
EELSスペクトル



期待される適用分野
・高エネルギー蓄電材料の開発
・積層材料の構造解析・開発

参考文献 Y. H. Ikuhara, et al, J. Mater. Chem. A 5 (2017) 9329.
謝辞 本研究は、トヨタ自動車(株)からの委託研究として実施したものである



研究開発トップに戻る