2017年度

JFCC研究成果集

科学技術イノベーションを推進する革新材料開発と先端解析技術

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R-25
2017

電界型コンパクト収差補正装置の開発


技術のポイント

電子顕微鏡の分解能を向上させる収差補正装置を2枚の電極間の電界を用いて実現しコンパクト化に成功

基礎研究


背景
電子顕微鏡の空間分解能を向上させるには、レンズのボケ(球面収差)を補正することが必要である。これまでに実用化されている補正装置は、複雑・大型で高価であったため広く普及していなかった

目的
特殊形状をもった2枚の電極を平行・同軸に配置して電圧印加できる装置を開発して走査型透過電子顕微鏡に搭載する。その両極間に発生する電場で球面収差を補正し、分解能を向上させる

成果
(1) 円環状の孔、円孔をもつ電極を集束イオンビーム等を用いて精密加工し、それらを高精度に同軸配置した。さらに外部から電圧印加できるシステムを構築
(2) 従来は数10cm以上あった収差補正装置を、数mm〜数cm以下のサイズにコンパクト化
(3) 原子レベルの分解能(〜0.19nm)を達成


開発した電界型収差補正装置の(a)模式図と(b)外観、および(c)電子顕微鏡への搭載状態

酸化セリウムの電子顕微鏡像
(a) 電圧印加なし
(b) 収差補正状態
(画像処理によりノイズ除去済み)



期待される適用分野
種々の電子顕微鏡、測長装置、
イオンビーム加工機の高分解能化
高精度・高確度の材料解析技術

謝辞 本研究は、JST先端計測分析技術・機器開発プログラム「超汎用型SEM用球面収差/色収差補正器の開発」の一環として実施したものである



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