2020年度

JFCC研究成果集

マテリアル革新力を支える新材料開発と先端解析技術

1研究成果 / 革新複合材料・機能材料

R-7

2020

過熱水蒸気によるCFRPからの高効率炭素繊維回収技術

課題

過熱水蒸気処理を利用して炭素繊維強化プラスチック(CFRP)廃材から高品位な炭素繊維を高効率で回収する場合、マトリックス樹脂の分解挙動を正確に理解することが、最適な過熱水蒸気処理条件を見出すのに不可欠である。

解決手段

過熱水蒸気中においてCFRPの熱重量-示差熱変化/発生ガス同時分析を行い、樹脂の熱分解挙動を明らかにするとともに、取得情報を実際のCFRP廃材の過熱水蒸気処理条件に展開する。

成果・優位性

・過熱水蒸気中では不活性雰囲気中に比べて樹脂分解がより低温から進行 ①
⇒反応開始温度付近で保持して、樹脂分解反応を制御するのが有効

・水蒸気の有無により、抽出イオンクロマトグラムの比率が変化 ②
⇒過熱水蒸気中では不活性雰囲気中に比べてより大きな分子量のガスが発生

・供試材: エポキシ樹脂CFRP

期待される市場・応用

・CFRP廃材(航空機用部品、燃料電池車用水素タンク等)の炭素繊維リサイクル

・セラミックス成形体(大型部品、シート、積層造形品等)の超高速脱脂 等

発表文献・特許

M. Wada et al., Compos. A, 85 (2016) 156.,G. Cai et al., Compos. A, 133 (2020) 105869. 特許第5876968号、特許第6340619号、特許第6596790号

謝 辞:本研究の一部は、NEDO委託事業「革新的新構造材料等研究開発」の一環として実施されたものである。