2020年度

JFCC研究成果集

マテリアル革新力を支える新材料開発と先端解析技術

3研究成果 / 次世代エネルギーデバイス

R-15

2020

次世代蓄電池固体電解質LaF3のイオン伝導第一原理計算

課題

金属系活物質のフッ化/脱フッ化反応をredox反応とするフッ化物シャトル二次電池は、次世代蓄電池として実用化が期待される。その全固体電池化にはフッ化物イオン伝導性に優れた固体電解質の開発が必要不可欠である。

解決手段

・第一原理計算を用いた無添加LaF3およびBaF2添加LaF3における欠陥形成エネルギーの評価と伝導担体の決定

・遷移状態探索によるBaF2添加LaF3におけるフッ化物イオン拡散の素過程解明と長距離拡散におけるボトルネックの特定

成果・新規性

・無添加LaF3において、フッ化物イオン空孔の移動エネルギーは0.08~0.17 eV。LaF3中のフッ化物イオン空孔は拡散しやすい電荷担体である。

・Ba添加LaF3において、フッ化物イオン空孔はBa近傍で移動エネルギー障壁が非常に高くなる。そのため、本来フッ化物イオン空孔が移動しやすいLaF3の特徴を十分に活用できない。

・計算方法: 平面波基底PAW法、VASP

Ba添加LaF3のc 軸方向のフッ化物イオン空孔の拡散経路の一つ
前図経路でのフッ化物イオン空孔の移動に伴うエネルギー変化

期待される市場・応用

・全固体フッ化物イオン二次電池

謝 辞:本研究は、NEDO「革新型蓄電池実用化促進基盤技術開発(RISING2)」で実施されたものである。