5研究成果 / 革新将来機能材料
R-26
2020
プロトン伝導体LaScO3の第一原理計算による相安定性
課題
BaやSrを添加したペロブスカイト型LaScO3は中温域(400~600 ℃)でプロトン伝導性を有するため、新規プロトン伝導体として注目されているが、結晶構造や高温における相転移の詳細についてはまだ明らかでない点が多い。
⇒相転移機構の解明により、材料開発の加速化が期待される。
解決手段
・ペロブスカイト型構造における八面体の傾斜と構造対称性の系統探索による候補構造(相)の特定(11種類)
・第一原理計算による相安定性の評価
・フォノン計算を基に相転移機構の解析
成果・新規性
・相転移の順序(高温から冷却した際に現れる順番):
立方晶系Pm3m →正方晶系I4/mcm →直方晶系Imma →直方晶系Pnma
Glazer表記 a0a0a0 → a0a0c- → a-b0a- → a-b+a-
・高圧合成や薄膜合成による他の結晶系(菱面体など)の安定化も可能
・計算方法:構造探索(SPuDSコード)、第一原理計算(VASPコード)、フォノン分散計算(Phonopyコード)
期待される市場・応用
・プロトン伝導セラミック燃料電池、固体酸化物型燃料電池など
・強誘電体、強弾性体、マルチフェロイクスなど
・高温セラミックス、高強度セラミックスなど
発表文献
フィッシャーら、燃料電池 Vol.19 No.3 (2020) 95-102
謝 辞:本研究は、NEDOエネルギー・環境新技術先導プログラム「超高変換効率新規プロトン導電テバイスの開発」の支援を受けて実施されたものである。