2021年度

JFCC研究成果集

脱炭素イノベーションをめざした革新材料開発/解析技術

1研究成果 / 革新環境材料

R-4

2021

SDGs11

輻射熱反射用酸化物膜の微量添加元素の効果

SDGs11

アピールポイント

マクロ的物質移動と微量元素の局所構造解析の融合
【技術シーズ:高温酸素透過試験/XANES/HARECXS】

課題

次世代航空機エンジン部材用の輻射熱反射膜の構成相として期待されるYリッチY2Ti2O7(YT)は、Alを微量添加することで高温での膜構造の安定性が向上する。

・Al添加により酸素空孔が導入されると、高温での酸素遮蔽性の低下が懸念

解決手段

・高温酸素透過試験により酸素遮蔽性と電気的特性を評価

・微量添加したAlの局所構造解析(放射光X線吸収分光法[XANES]、高角度分解能電子チャネリングX線分光法[HARECXS])→ 膜内の物質移動機構を解明

成果・新規性

・0.4 at%のAlを添加することで酸素遮蔽性が向上し、電子的伝導性が発現

・添加Alは主にTiサイトを置換し、ホールとAlTi+VO複合欠陥を形成

 → 酸化物イオンの拡散を抑制

酸素透過係数の温度依存性
Al添加YTのAl-K端X線吸収分光スペクトル
Al添加YTの結晶構造と酸素のチャネリング図形

期待される市場・応用

・航空機エンジン、ガスタービン、熱処理炉用耐熱部材の遮熱コーティング

・ハイエントロピー材料などの添加元素の局所構造解析

発表文献・特許

M. Tanaka et al., J. Ceram. Soc. Jpn, 129 (2021) 22. 特許第6358656号
M. Ohtsuka et al., J. Am. Ceram. Soc., 104 (2021) 3760.

謝 辞:本研究の一部は、JSPS科研費新学術領域研究「機能コア科学」(JP19H05792)の支援を受けて実施されたものである。