2021年度

JFCC研究成果集

脱炭素イノベーションをめざした革新材料開発/解析技術

1研究成果 / 革新環境材料

R-5

2021

SDGs11

ナノドメイン形成による耐熱性酸化物の低熱伝導化

SDGs11

アピールポイント

遮熱コーティング用酸化物への元素ドープによる局所構造制御
【技術シーズ:高分解能TEM/放射光XRD】

課題

遮熱コーティング候補材のYbTa3O9は、室温~高温まで相転移がなくナノドメイン界面でのフォノン散乱により低熱伝導性を示すが高温構造安定性に劣る。

・高温構造安定性に優れるYTa3O9(YTa)は、ナノドメインが無いため低熱伝導化が阻害され、かつ体積変化を伴う相転移により耐熱サイクル性の低下が懸念

解決手段

・9 cat%のHfをYTa3O9にドープ(HYTa)

・YTaおよびHYTaの熱伝導率を実測し、ナノ構造を高温XRD装置、高分解能TEM、放射光小角XRD装置(あいちSR)により評価 → Hfドープの効果を評価

成果・優位性

YTaへのHf添加により、ナノドメインの形成と低熱伝導化が可能

・500 ℃近傍での直方晶(低温)-正方晶(高温)間の相転移を抑制

・約3 nmのナノドメインを有する高温相が低温域でも準安定相として存在

・ナノドメイン界面でのフォノン散乱の寄与により、低熱伝導性が向上

YTaおよびHYTaでの電子回折・
放射光XRDパターン(室温)
YTaの熱伝導率に及ぼすHf添加の影響
YTaおよびHYTaの結晶構造の温度依存性

期待される市場・応用

・航空機エンジン、発電用タービン等の遮熱コーティング材料