2021年度

JFCC研究成果集

脱炭素イノベーションをめざした革新材料開発/解析技術

1研究成果 / 革新環境材料

R-6

2021

SDGs11

酸化物保護膜の酸素遮蔽性に及ぼす粒界偏析元素の機能

SDGs11

アピールポイント

粒界偏析元素解析から保護膜性能向上へ
【技術シーズ:膜表面・空間電荷形成/易動度】

課題

・Alを含む耐熱合金に極微量の元素(REs:Y、Hf等)を添加すると、合金の酸化により表面にREsが粒界偏析したアルミナ膜が形成し、更なる酸化が抑制されるが、膜粒界を介した酸化物イオンの移動に及ぼすREsの機能は不明

解決手段

・酸素トレーサ(18O2)を用いたアルミナ膜の1600 ℃酸素透過試験を実施

・酸化物イオンの粒界拡散係数と膜厚方向の18O分布を評価

・REsと酸素ポテンシャル勾配(dμO)の影響を解明

成果・新規性

・無添加の場合、dμO印加により酸化物イオンの粒界拡散係数が1/10に低下し、酸化物イオンが両表面近傍に滞留。また、電子的伝導が支配的
→ dμO印加による表面/空間電荷層の形成により酸化物イオンの移動が抑制

・粒界偏析Yの場合、dμO印加による酸化物イオンの表面近傍滞留作用が無添加に比べて減少。また、イオン伝導が支配的となり表面/空間電荷が減少
→ 酸化物イオンの移動抑制>>表面近傍滞留緩和による移動促進

Al2O3膜を1600 ℃のdμO下に曝した時のPO2(hi)表面近傍の粒界拡散係数
Al2O3膜を1600 ℃のdμO下に4h曝した後の膜断面の18O分布

期待される市場・応用

・次世代航空機エンジン、発電用タービン、並びに、各種熱処理炉等の高温の過酷環境下で使われる耐熱部材の耐久性向上のための保護膜設計

発表文献

T. Matsudaira et al., Acta Mater., 151 (2018) 21-30.

謝 辞:本研究の一部は、JSPS科研費新学術領域研究「機能コア科学」(JP19H05792)および文部科学省ナノテクノロジープラットフォーム(課題番号JPMXP09A19UT0035)の支援を受けて実施されたものである。