2022年度

JFCC研究成果集

新時代のマテリアル戦略を支える新材料開発と先端解析技術

3研究成果 / 先進微構造解析・処理技術

R-13

2022

SDGs9

OBF STEM法による超高感度​ゼオライト原子構造直接観察

SDGs9

アピールポイント

超高感度な電子顕微鏡イメージング手法の開発​
【技術シーズ:分割型STEM検出器+新規画像処理法】

課題

・​ゼオライトは電子線照射に極めて弱く、容易に試料が損傷

・低電子ドーズ条件では照射損傷を低減できる一方で、信号ノイズ比も低下​

・精密な原子構造の直接観察・解析は極めて困難​

解決手段

・走査透過電子顕微鏡(STEM)に分割型検出器を搭載​​

・​電子顕微鏡結像理論にもとづいた新しい画像処理法として、​最適明視野(Optimum Bright-Field:OBF)STEM法を開発​

成果・新規性

・従来手法と比較して100倍程度高いイメージング感度を達成

・照射ダメージを抑えた低ドーズ条件にて、ゼオライト骨格構造の​全元素サイトを明瞭に可視化

・実験方法: 走査透過電子顕微鏡、分割型STEM検出器

FAU型ゼオライト骨格構造
<110>投影原子構造

<観察条件>
・加速電圧300 kV, 収束半角15 mrad
・JEM-ARM300F with SAAF2 (16-seg.)
・プローブ電流:0.5 pA

FAU型ゼオライトのOBF像
ユニットセル平均化OBF像

期待される市場・応用

・ゼオライトにおける材料機能発現メカニズムの解明

・有機系試料など電子線に弱い物質の超高分解能構造解析​

発表文献

K. Ooe et al., Ultramicroscopy 220 (2021) 113133.​

謝 辞:本研究は、JSPS特別研究員奨励費(19J23138)および、JST先端計測分析技術・機器開発プログラム(JPMJSN14A1)の支援を受けて実施されたものである。​