1研究成果 / 脱炭素
R-4
2023
Ca-Mg-Fe-Al-Si-O溶融物に対する環境遮蔽膜の耐食設計
アピールポイント
多元系計算状態図を用いた損傷度予測と実証
【技術シーズ:状態図計算/溶融物に対する腐食試験】
課題
・次世代航空機エンジン用部材の環境遮蔽膜(EBC)には、エンジン内に取り込まれた火山灰や砂等の1300 °C超のCa-Mg-Fe -Al -Si -O溶融物 (CMAS)に対して優れた耐食性が必要であるが、体系的な材料設計指針は提案されていない。
解決手段
・熱力学的視点:擬三元系計算状態図を用いて、多成分かつ多様な化学組成を有するCMASとEBC間の反応性を特徴づける熱力学的記述子を抽出
・速度論的視点:CMAS-EBC間の反応により、EBC上に形成した反応生成物層中にCMAS残渣融液の高速拡散経路となりうる非晶質粒界層を形成させない。
成果・新規性
耐CMAS性に優れるEBC:
・熱力学的視点:CMAS-EBC間の擬三元系計算状態図中において、凝縮相のGarnetとApatite等が共存する領域が広いこと
・速度論的視点:EBC-反応生成物層界面にGarnet層を生成しやすくすること
・計算方法:FactSage(1400 °C、全圧=1 atm、PO2=0.2 atm)
・実験条件:1400 °C、20 h
期待される市場・応用
・航空機エンジン用耐熱部材のコーティング
・様々な溶融物接触部材の耐食設計
発表文献
S. Kitaoka, M. Tanaka, T. Ito, T. Kato et al., J. Am. Ceram. Soc., 106, 4863-4876 (2023)
謝 辞:本研究は、NEDO助成事業「次世代複合材創製・成形技術開発プロジェクト(P20010)」の一環として実施されたものである。