1研究成果 / 脱炭素
R-7
2023
アルミナの粒界移動の起源
アピールポイント
アルミナ膜の粒界移動の起源となる格子欠陥種を推定
【技術シーズ:18O2を用いた酸化膜中の物質移動解析】
課題
・高温の酸素濃度勾配下(dμO)に曝された多結晶アルミナ膜中の粒界を介した物質移動においては、ランダムな結晶配向に起因する粒界特性のバラツキのために、物質移動機構の本質を理解するのが困難
解決手段
・モデルアルミナ膜として、粒界構造既知の”一般粒界に近い大傾角粒界のΣ31”ウェハ(厚さ100 μm)を使用
・酸素トレーサー(18O2)を含む高温二相環境に上記ウェハを曝した後、SIMSにてウェハ断面の18O濃度分布を計測することで粒界を介した物質移動を解析
・ウェハの片面を高PO2環境に曝す(p型伝導により非平衡Al空孔を表面濃化)
成果・新規性
・Alイオンの外方向拡散により、PO2(hi)表面粒界にアルミナ隆起部が形成
・表面に存在するAl空孔が表面粒界で消滅する際に、空孔が存在する方向に粒界が移動することで、表面近傍粒界が大きく湾曲
・左右に大きく移動する湾曲粒界面に沿って、マイナー拡散種の酸化物イオンが内方向に移動した軌跡として、隆起部直下に扇形の18O濃化領域を形成
期待される市場・応用
・非平衡カチオン空孔の形成抑制:過酷環境下に曝される酸化物の組織安定化
・非平衡カチオン空孔の形成促進:セラミックス焼結の高速化による省エネ
発表文献
T. Matsudaira et al., Acta Mater., 151 (2018) 21-30, ibid., 252(2023) 118927
謝 辞:本研究は、JSPS科研費(JP19H05792、JP19H05788)および文部科学省「マテリアル先端リサーチインフラ」事業の支援を受けて実施されたものである。