2023年度

JFCC研究成果集

GX時代のマテリアル戦略を支える新材料開発と先端解析技術

2研究成果 / 次世代電池

R-11

2023

SDGs7

全固体電池用固体電解質におけるLiイオン伝導機構

SDGs7

アピールポイント

固体電解質における原子配置とイオン伝導機構の解明
【技術シーズ:欠陥を高濃度に含む構造の理論計算】

課題

・大容量かつ高出力な全固体リチウムイオン電池を実用化するため、高いイオン伝導率をもつ、化学的に安定な固体電解質を開発することが期待

・固体電解質結晶内でのリチウムイオンの配置や移動経路を解明することが課題

解決手段

・層状ペロブスカイト型酸化物(ABO3)であるLa0.5Li0.5TiO3(LLTO)におけるエネルギー的に安定なLa、Liサイトを理論計算により系統的に探索​

・LLTO結晶内のLiイオン移動経路における障壁エネルギーを評価​

成果・優位性

・LLTO結晶内におけるLaの配置に局在性があることを予見

・Liはペロブスカイト構造のAサイトより窓サイトを優先的に占有

・Liイオン拡散の障壁エネルギーは、Aサイト経路より格子間サイト経由の方が低いことから、Liイオンは、格子間サイトを経由して移動

・計算方法:第一原理計算(VASPコード)、Nudged Elastic Band法

従来提案されていたLLTOの構造
(単位セル)
3×3×1スーパーセルにおける最安定な結晶構造
(A1層La/(La+Li)比=1/3)

期待される市場・応用

・全固体電池(電気自動車、パワーツール、デジタルデバイスなど)

・大容量蓄電池システム(再生可能エネルギーの発電所、事業所・工場など)

謝 辞:本研究は、防衛装備庁が実施する安全保障技術研究推進制度(JPJ004596)の支援により実施されたものである。