1研究成果 / 脱炭素
R-4
2024
アルミナ膜中の粒界を介した物質移動に及ぼす水蒸気の効果
アピールポイント
構成イオンの粒界を介した移動量を精密定量
【技術シーズ:双晶粒界と18O2を用いた高温酸素透過試験】
課題
・酸化物のネック/粒成長は、水蒸気共存下で促進することが知られている。
・酸化物を構成するカチオンと酸化物イオンの各々に対して、移動に及ぼす水蒸気効果が定量的に評価されていないため、促進作用の本質を理解するのが困難
解決手段
・モデル酸化物として、粒界構造既知の一般粒界に近い物質移動特性を示すアルミナ-Σ31双晶ウェハ(厚さ100 μm)を使用
・高温において、上記ウェハを18O2を含む酸素濃度勾配下(dμO)に所定時間曝した後、厚さ方向の粒界の18O濃度分布やPO2(hi)表面粒界の隆起体積を計測
成果・新規性
PO2(hi)表面側をDRYからWETにすることにより、
・粒界を介したOとAlの移動が共に促進(O:3倍、Al:1.5倍)
・内部粒界におけるOの移動のしやすさは、dμO印加の有無によらず同じ
→粒界コア内に侵入したHが振動振幅大のOの最隣接に存在したことで、OとAl間のクーロン力が低下すると共に、Hの移動がそれらの移動を支配した可能性あり
期待される市場・応用
・高温水蒸気による物質移動促進:セラミックス多孔体の高速焼成・高強度化
・高温水蒸気下の物質移動抑制:過酷環境下に曝される酸化物の組織安定化
発表文献
T. Matsudaira et al., Acta Mater., 252(2023) 118927, J. Ceram. Soc. Jpn., 131, 632-639 (2023)
謝 辞:本研究は、JSPS科研費(JP19H05792、JP19H05788)の支援を受けて実施されたものである。