2024年度

JFCC研究成果集

グリーンイノベーションを推進する次世代マテリアル開発と解析技術

1研究成果 / 脱炭素

R-6

2024

SDGs7

酸化ガリウム半導体中に形成される転位のTEMによる精密構造解析

SDGs7

アピールポイント

酸化ガリウム中に応力で生じる転位の構造を一意に決定
【技術シーズ:転位解析用TEM/大角度収束電子線回折法】

課題

・X線トポグラフィでは、原理と空間分解能の制約からより詳細な解析が困難​

・高分解能TEM/STEMでは、晶帯軸間をまたぐ大傾斜観察が困難

・明視野・暗視野法では、転位の変位ベクトルを厳密に特定することが困難

解決手段

・転位の抽出技術と解析技術を連携させて、転位の形態と構造を詳細に理解​

・対物レンズ周辺の空間を確保したTEMを用いて大傾斜観察を実現

・転位の変位ベクトルを大角度収束電子線回折(LACBED)法により導出

成果・優位性

・圧子圧入後のβ型酸化ガリウムの構造解析を行い、主な変位方向を特定

・大傾斜観察により転位線の進展方向などを把握

・転位の変位ベクトル(バーガースベクトル、b)を一義的に決定

・実験方法:LACBED法、明視野・暗視野法、集束イオンビームマイクロサンプリング法

β-Ga2O3の結晶構造
β-Ga2O3の暗視野像
​(gb=0を用いた解析法、
g: 逆格子ベクトル)
β-Ga2O3のLACBEDパターン
​(gb=nを用いた解析法、
​転位の変位ベクトル b=[0-10])

期待される市場・応用

・パワー半導体ウェハの結晶成長や機械加工において導入される転位の評価

・パワーデバイス動作時における劣化箇所の構造評価

発表文献

Y. Yao et al., J. Appl. Phys., 134, 215106 (2023).​

謝 辞:本研究の一部は、防衛装備庁安全保障技術研究推進制度JPJ004596「反転MOSチャネル型酸化ガリウムトランジスタの研究開発」により実施されたものである。