2013年度

JFCC研究成果集

未来開拓研究による環境・エネルギーへの挑戦

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2013-3

酸窒化処理チタンの医療応用に向けた生物学的検討


技術のポイント

純チタン表面に、格子間に窒素を取り込んだ酸化層を形成させることで、繊維芽細胞株の旺盛な増殖が可能

基礎研究


背景
チタン製人工関節の長寿命化を図るために、通常、チタンの酸化によりその表面に酸化チタンを形成することで、繊維芽細胞株の増殖性能の向上が図られる。しかし、この処理だけでは十分な増殖性能を得ることが困難である。

目的
チタンの酸窒化処理により形成した窒素固溶酸化チタン層には、優れたアパタイト形成能が発現するが、この層の繊維芽細胞の増殖性は不明である。そこで、Rat-1繊維芽細胞を用いて、その増殖性を評価した。

成果
(1) 純チタン(表面:#400仕上げ)を低酸素分圧(PO2=10-14Pa)の窒素中で 熱処理(973K、1h)すると、酸化チタンの格子間に窒素が取り込まれた酸化チタン層が形成した。
(2) 細胞学的評価
未処理チタンに比べ、酸窒化処理チタン上では、Rat-1繊維芽細胞株の旺盛な増殖を確認した。


(a) XRD回折パターン (b) XPS-N1s スペクトル
図1. 酸窒化処理チタン表面の結晶構造
図2. 酸窒化および未処理チタン上での
Rat-1繊維芽細胞の分布
(培養日数1日)



今後の展開
動物実験により酸窒化処理したチタンの
骨形成能の評価
実機人工股関節部材への適用

参考文献 M. Hashimoto, K. Kashiwagi, and S. Kitaoka, J. Mat. Sci: Mater Med., 22 (9), 2013 (2011).
謝辞 本研究は、JFCCが実施する先端技術育成研究 の一環として実施したものである。



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