2014年度

JFCC研究成果集

技術革新を支える新材料開発と先端解析技術

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2014-9

第一原理計算によるLiCoO2ポリタイプの構造と特性


技術のポイント

Li二次電池用正極材料LiCoO2の、多形体の安定性・正極電位と積層順位の依存性を、系統的に検討する

基礎研究


背景
通常に正極材料として使用されたLiCoO2が立方最密充填(ccp)系の多形体であるが、他のポルタイプ(O2,O4)も合成および特性測定が報告された。

目的
LiCoO2の八面体Li系ポリタイプを中心として、理論計算を用いて、積層構造との電池用正極材料関連の特性について系統的に検討する。

成果
(1) O1ポリタイプがhcp積層順位であり、最も低い電位の多形体である
(2) O2ポリタイプがccp構造とhcp構造のミックスであり、特性がO3とO1の中間である。ポリタイプの単位セルがO3より大きくなる大きくほど、最も安定な積層順位の構造の電位と密度がO3の特性に近づく
O3ポリタイプが最も安定性、密度と電位が高い多形体である


・手法:経験的原子間ポテンシャル法(GULPコード)と密度汎関数(DFT)論(VASPコード)
・評価:ΔEform=(ポリタイプの全体エネルギー)−(最も安定なポリタイプO3の全体エネルギー)
     電位,V=[(LiCoO2の全体エネルギー)−(CoO2の全体エネルギー)]/ファラデー定数
図1. On-LiCoO2(n= 1〜4)ポリタイプの単位セル
(最も安定な積層順位構造の場合)
図2. On-LiCoO2(n=1〜7)の相対的の格子
エネルギー電位とポリタイプ種類の依存性



期待される適応分野
? リチウム・イオン二次電池用正極材料の最適化
? 高信頼性リチウム・イオン・キャパシター材料の開発
? 高エネルギー蓄電材料素子の開発

参考文献 M. S. Islam and C. A. J. Fisher, Chem. Soc. Rev., 43 (2014) 185.
C. A. J. Fisher, et al., Phys. Status Solidi RRL (in press).



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