2018年度

JFCC研究成果集

未来社会を創出する革新材料開発と先端解析技術

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R-16
2018

円環・円孔電極を用いたSEM用収差補正装置の開発




課題
電子顕微鏡の空間分解能を向上させるには、レンズのボケ(球面収差)を補正することが必要である。従来の補正装置は複雑・大型で高価であったのに対し、小型で安価な補正装置を開発することで広く普及する技術を確立する

解決手段
走査型電子顕微鏡(SEM)の分解能を向上させるため、特殊形状をもった2枚の電極を平行・同軸に配置して電圧印加し、両極間に発生する電場で球面収差を補正するというシンプル・コンパクトな装置を開発する

成果・優位性
収差補正することで簡便に分解能向上(1.2nm → 0.5nm@30kV; 目標値)
従来の数10分の1のサイズ・コストで収差補正が可能
既存の絞り部分に装着でき、オプション機能として簡便に実装可能
調整が簡便なため、各種の観察条件(加速電圧、ワーキングディスタンス等)の変更後にもすぐに再調整が可能(数分以内)


・電極への印加電圧を適正値に近づけると分解能が向上する(加速電圧30kV 試料;Au粒子/C基板)



期待される市場・応用
SEMの高分解能化により、各種試料の高精度・高確度解析が可能
低加速電圧(数kV)での高分解能観察が可能なため、
ダメージを受けやすい試料(高分子、バイオ試料等)の観察に適する

発表文献
T. Kawasaki et al., Surf. Interface Anal. (2016) 48, 1160

謝辞 本研究は、JST先端計測分析技術・機器開発プログラムにおいて実施したものである


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