2018年度

JFCC研究成果集

未来社会を創出する革新材料開発と先端解析技術

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R-21
2018

アルミナ粒界を介した物質移動に及ぼす
酸素濃度勾配と加湿の影響




課題
高温の燃焼環境下に曝される耐熱合金の耐久性を把握し、効果的に運用するためには、合金表面に形成する酸化保護膜中の物質移動機構の本質を理解することが重要

解決手段
アルミナ焼結体から切りだしたモデル保護膜に対して、酸素トレーサー(18O2) を用いて高温加湿環境下の酸素透過試験を実施し、膜中の酸素の粒界拡散性を厳密に評価

成果・優位性
数10ナノレベルの分解能を有する二次イオン質量分析(SIMS)により、アルミナモデル膜の断面表面近傍の18O分布を定量的に評価
粒界単位で酸素の粒界拡散係数の測定が可能
酸素濃度勾配(dμO)があるときにのみ、酸素の粒界拡散性が加湿の影響を受ける
(酸素の拡散性はH2Oにより促進、D2Oにより抑制)


アルミナモデル膜断面の高酸素分圧側表面近傍のSIMS-18O分布
(膜厚=250μm, 1600℃×1h, dμO=PO2(hi)/PO2(lo)=104Pa/10-8Pa, PH2O=104Pa)
酸素の粒界拡散係数、
酸素濃度勾配、加湿の関係



期待される市場・応用
高温の酸素・水蒸気環境下において優れたガスバリア性、構造安定性を有する保護
膜の開発

発表文献・特許
T.Matsudaira, et al., Acta Mater.,151(2018) 21-30
特許第5411460号

謝辞 本研究の一部は、JSPS科研費新学術領域研究「ナノ構造情報」(JP25106008)、及び、文部科学省委託事業東京大学ナノテクノロジープラットフォームの支援を受けて実施したものである


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