2018年度

JFCC研究成果集

未来社会を創出する革新材料開発と先端解析技術

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R-22
2018

酸素トレーサーを用いた酸素透過法による
保護膜中の物質移動機構




課題
Yb2Si2O7は次世代航空機エンジン用耐熱部材(SiC繊維強化SiC基複合材料)の高温酸素/水蒸気環境下における保護膜として期待
⇒ 高温の酸素濃度勾配(dμO)下において、高酸素分圧(Po2(hi))側の加湿により、
  優れた酸素遮蔽性を発現するが、その機構は不明

解決手段
酸素トレーサー(18O2)ガスを用いて、Yb2Si2O7ウェハ(モデル保護膜)に対して、
高温加湿環境下の酸素透過試験(酸素と水蒸気の濃度勾配下に曝露)を実施
⇒ 試験後の膜断面の18O分布と組織変化より膜中の物質移動量を定量的に評価

成果・優位性
膜断面深さ方向の18O分布より、加湿により酸化物イオンの内方向への粒界拡散が促進(粒界毎に決定した粒界拡散係数は一定、駆動力は増大)
加湿により、膜内部のYb2SiO5の生成反応が促進され、その結果として、粒界を相互拡散してきた酸化物イオンとYbイオンを消費
  ⇒ 加湿dμO下において、優れた酸素遮蔽性を発現


酸素透過試験条件: ウェハ膜厚=250μm, 1400℃×1h, dμO=Po2(hi)/Po2(lo)=104Pa/10-9Pa, PH2O=104Pa
酸素透過試験後のYb2Si2O7ウェハ断面のPo2(hi)側表面近傍のSIMS-18O分布とSEM像



期待される市場・応用
高温燃焼環境下における保護膜の最適構造設計と耐久性予測

発表文献
M. Wada et al., Acta Mater.,135 (2017) 372-381.

謝辞 本研究は、総合科学技術・イノベーション会議のSIP(戦略的イノベーション創造プログラム)「【革新的構造材料】(管理法人:JST)」、および、文部科学省委託事業東京大学ナノテクノロジープラットフォームの支援を受けて実施したものである


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