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マトリックス樹脂中に炭素粒子を分散させた長繊維強化複合材料(FRP)は、変形に対して極めて敏感な抵抗変化を示します。さらに、分散させる粒子の形態・体積割合およびマトリックスの熱処理条件を最適化することにより、負荷−除荷後に不可逆的な抵抗変化が発現することを見出しました。この残留抵抗現象を応用することにより、過去に作用した歪の最大値を複合材料に記憶させることが可能となります。これによりデータ計測・収集機器の常設によるモニタリングの継続が不要となり、シンプル且つ低コストな健全性診断技術を提供することができます。 |
自己診断材料の写真(左)、センシング部(神経に相当)の構造説明図(中)、最大歪記憶性能の図(右)。自己診断材料は、過去に受けた歪み(損傷、打撲の度合に相当)を、材料自らが電気抵抗の変化(残留抵抗と呼ぶ、神経における痛みに相当)で記憶しているという、極めて特異な機能を有しています。自己診断材料を建物の中に入れておけば、地震後の建物の損傷度合を評価することができます。 |
最大歪メモリ機能のメカニズム
最大歪記憶センサ
表面取り付け型変位計の開発
・ 汎用的な変位計への適用 ・ バネを介して変位を歪みとして伝達 ・ ばね定数の選択で許容変位を調整 ・ 初期張力導入による感度の向上 |
木造建築物の損傷検知への適用
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社会基盤構造物の安全維持管理
自己診断材料の適用場所のイメージ図
自己診断材料(センサ)による計測システムのイメージ図
提供可能な自己診断材料のサンプル例
国立科学博物館に展示したパネル
■ 神経 |
神経は、あらゆる動物に見られる組織で、神経が属する部位(例えば腕)が動くとか痛いとか感じる情報伝達を行う役割を担っています。もし、腕の中の神経がなくなってしまえば、それが動いたことは目でみないと分からないでしょう。神経が入っていれば、目をつぶっていても腕を動かすことができるし、また人にぶつかって痛いと感じることもできます。打撲傷でなかなか痛みが消えない場合にはお医者さんに行って治してもらうという行動にも出られます。 もし、神経がなくてそのまま生活してしまったら、腕に無理がかかってダメになってしまうかもしれません。それほど神経はとても動物にとって重要な役割をしています。建物とか機械とかの人工物には、基本的には神経に相当するものは入っていません。長く安全に建物などを使うには、その材料の中に神経のようなものを入れてみるという技術が、とくに地震の多い我が国で開発されつつあります。 |
神経が入っているので安心・安全 |
■ 今後どのような技術が開発されるか |
トンネル、高架橋、ビルなどの大型構造物にこの自己診断材料をいれておけば、大きな地震が来たとき、自己診断材料の電気抵抗を測れば、それらの構造物がどれだけ損傷(ダメージ)を受けているか、今後も安全に使えるか、修理あるいは建て直しが必要かを正確に判断することができます。これからの時代では、なかなか新しい構造物を建てられない時代になっていきますので、そのような検査(チェック)技術が私達の生活の安全を守ってくれるという重要な役割が課せられています。 |
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図1. センサの構造と外観 |
図2. 炭素化温度依存性とメモリ機能の機構 |
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図1. 研究概要図 |
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