2014-2 高い水酸化アパタイト形成能を有する生体用チタンの開発 チタンを酸窒化処理した際に、表面に形成する窒素固溶ルチル層が、高い水酸化アパタイト形成能を発現 チタンの酸窒化処理により形成されるスケールは、優れた水酸化アパタイト(HAp)形成能を有するが、その微細構造は不明のままである。 スケール断面の微細構造解析を基に、優れたHAp形成能の発現機構を解明する。 (1) スケール層は表面近傍にNが固溶したルチル層、基板側にTiN層からなる積層構造体であり、全体の厚さは100-200 nm (2) 固溶Nの存在位置は、酸素置換型ではない(光触媒機能無し) →電気的中性条件を満たすために酸素空孔が形成 (3) ルチル層表面に酸素空孔が濃化し、その結果として、表面が正に大きく帯電 →擬似体液中でリン酸イオン(負)が優先的に吸着し、引き続いてCaイオン(正)が引き寄せられHAp核形成が促進したものと推察 図1. HAp被覆率(α)と擬似体液浸漬時間(t)の関係 図2. 酸窒化スケール断面のTEM像とN固溶ルチル層中の N-殻吸収端ELNESスペクトル(実験、計算) 高生体活性を有するチタン合金部材(人工股関節・椎体等) 参考文献 : M. Hashimoto, K. Hayashi and S. Kitaoka, Mat. Sci. Eng. C., 33, 4155-4159 (2013). 謝辞 : 本研究は、JSPS科研費25106008の助成を受けたものである。