1研究成果 / 革新複合材料・機能材料
R-6
2020
結晶粒界構造に基づく熱伝導度の直接予測
課題
ほとんどの実材料中に存在する結晶粒界は、機械的・電気的・熱的性質を含め、多くの場合でデバイスの性能を決定付ける。しかし、無数のパターンが存在する粒界構造を網羅的に観察・測定することは困難であり、数nm程度の領域に存在する微視的な原子配列を巨視的な材料特性に結び付ける手段も確立されていない。
解決手段
・計算材料科学を利用し、90種以上のMgO結晶粒界構造を網羅的に解析
・多様な粒界構造の原子配列を、情報科学的手法によりパラメータとして表現
・この情報を入力として機械学習を行うことにより、個々の粒界の物性を予測
成果・新規性
・材料科学的知見に基づいた適切な入力パラメータを独自に考案することで、単純な(物理的に解釈可能な)機械学習で高精度に粒界熱伝導度を予測
・結晶粒界に少しの原子配列の乱れが存在するだけで著しく熱伝導性が低下することを世界で初めて実証
・実験方法: 摂動分子動力学法(LAMMPSコード)、階層的クラスタリング、線形重回帰
期待される市場・応用
・熱電変換材料・遮熱コーティングなどの熱機能性材料全般
・イオン伝導など、結晶粒界が大きな影響を及ぼすデバイスへの手法の適用
発表文献
S. Fujii et al., Nature Communications, 11 (2020) 467.
S. Fujii et al., Acta Materialia, 171 (2019) 154-162.
謝 辞:本研究は、JST「情報統合型物質・材料開発イニシアティブ(MI2I)」 およびJSPS科研費新学術領域「機能コアの材料科学」(19H05786)の一環として実施されたものである。
プレゼンテーション動画
R-2 / R-6 / R-9 / R-10 / R-19 / R-22 / R-24 / R-28 / T-18 / T-34
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