2023年度

JFCC研究成果集

GX時代のマテリアル戦略を支える新材料開発と先端解析技術

4研究成果 / バイオ

R-22

2023

SDGs9

グラフェンサンドイッチ法による電子線低耐性試料の電子顕微鏡観察

SDGs9

アピールポイント

電子線照射に弱い湿潤試料の電子顕微鏡観察
【技術シーズ:グラフェン担体/グラフェンサンドイッチ】

課題

・液中走査電子顕微鏡法は絶縁性隔膜による散乱と帯電による像質劣化が課題

・生体組織観察では、低い電子線耐性とコントラストを補うため重金属染色が必須であり動的観察は困難

解決手段

・導電性膜であるグラフェンによる電子線損傷からの試料の保護​

・二枚のグラフェン層間に試料を挟む「グラフェンサンドイッチ法」によって、湿潤試料を真空装置へ持ち込むことが可能​

・グラフェンは炭素原子1層のためバックグラウンドの低減にも期待​

成果・新規性

・グラフェンサンドイッチ法により、無染色かつ無処理の大腸菌懸濁液の走査電子顕微鏡(SEM)観察に成功

・従来法と比較してシグナル/ノイズ(SN)比が改善

・観察後の大腸菌の培養により損傷の抑制を示唆

・実験方法:SEM観察、グラフェンサンドイッチ

グラフェンサンドイッチ法のイメージ図
包摂された大腸菌のSEM像
強度プロファイル

期待される市場・応用

・通常の試料ホルダーを使用した湿潤試料の電子顕微鏡観察

・グラフェンを担体とした低バックグラウンドな観察、測定

・電子線照射低耐性試料の観察、そのほか真空下への試料持ち込み

発表文献・特許

Yuki Sasaki et al., Microscopy, 71(3), (2022), 175-180.
特許第7085421号​

謝 辞:本研究は、JSPS科研費(JP19K15404、JP20H03861)の助成を受けたものである。

プレゼンテーション動画

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