2016年6月29日 |
本研究の【概要/詳細】
<背景> 軽量化部材のCFRPは、身近なスポーツ用具から航空宇宙分野の素材まで幅広く応用されています。さらに、最近はこのCFRPを自動車の車体の一部に使用し軽量化することで、大幅に燃費を改善できるため、本格適用が期待されています。しかし、CFRPは製造時に多くの端材が発生し、高価な炭素繊維が有効に利用されないため、高い製造コストと共にCFRP普及に伴う廃棄物の増大が課題になっています。 これまで我々は過熱水蒸気を用いて樹脂を分解気化することでCFRP廃材から高付加価値部品への再利用が可能な高品位炭素繊維のリサイクル回収技術を進めてきました。 <研究内容> (1) 省エネ型連続式炭素繊維回収システムの開発 経済産業省・戦略的基盤技術高度化支援事業(サポイン事業)において、_砂工業(株)等と共同で、省エネ型の高品位リサイクル炭素繊維連続回収システムの開発に取り組んでおります。ロータリーキルン方式による連続処理が可能であるとともに、CFRPを処理する際に発生する樹脂分解ガスを燃料として利用することにより、低コストで炭素繊維の回収が可能です。 |
(2) 低品位の炭素繊維の強度を大幅に向上させる過熱水蒸気による処理方法の開発 | ||
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(3)過酷な繊維回収条件に耐えうる繊維の仕様を示唆 実際の炭素繊維の表面形態は平滑なものから凹凸を有するものまで多様であり、用途に応じて使いわけているのが現状です。これまでの過熱水蒸気処理した炭素繊維の評価を進める中で、繊維破断面をSEM観察すると破壊起点のほとんどが表面き裂から起きることが解っています。この知見は、炭素繊維の強度はその表面形態に強く依存することを示唆していますが、炭素繊維のリサイクル回収を想定した場合、回収処理後の炭素繊維強度に及ぼす表面形態の影響については明らかになっておりません。 本研究では、過熱水蒸気処理後の炭素繊維強度に対し、「繊維表面形態」および「酸素ガス分圧」の影響を評価し、強度低下を抑制するための因子を明らかにしました。 下図は、表面形態の大きく異なる2種類の繊維を用いて、過熱水蒸気処理中の酸素分圧に対し、引張強さをプロットしたものです。繊維の表面形態によらずあるしきい値より酸素分圧が高くなると、引張強さが減少傾向を示すことが確認されました。その一方で、表面が平坦な繊維より、表面凹凸の大きい繊維の方が強度低下しにくいことが明らかになりました。 つまり、過酷な繊維回収条件(酸素混入、リサイクル回数の増加)にも耐えうる繊維の仕様を示唆しました。 |
【用語説明】
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