2024年度

JFCC研究成果集

グリーンイノベーションを推進する次世代マテリアル開発と解析技術

3研究成果 / 環境材料

R-15

2024

SDGs3

棘状表面を有するセグメント構造TiON膜の創成とその抗菌性

SDGs3

アピールポイント

セラミックス膜の表面形状制御による抗菌性の発現
【技術シーズ:電子ビームPVD】

課題

・歯科用Tiインプラント等に抗菌性を付与するためには、薬剤が使用されており、生体に安全な薬剤の徐放制御が必要​

・最近、10 nmオーダーの棘状表面には抗菌性が発現することが報告されたが、細い棘では繰り返しの咬合に伴う応力集中により容易に損耗することが懸念

解決手段

・電子ビームPVDを用いて、縦割れを有する多孔質セグメント構造のTi-O系セラミックス膜にすることにより、外部応力に対する変形許容性UP​

・膜の結晶性や構造安定性を向上させるための高温の成膜時に、Ti-O膜中にNをドープすることで、膜の共有結合性を強めて表面拡散を抑制し棘状表面を形成

成果・優位性

・0.1 %O2-N2ガスを吹き付けながら加熱成膜することにより、[111]面配向した岩塩型Tiプア-TiONセグメント膜(10~50 nmの棘状表面)の創成に成功

・上記膜には、大腸菌に対する抗菌性が発現

・膜の弾性変形域における最大荷重時の平均圧力は、平均咬合圧力(< 10 MPa)よりも十分に大であることから、この条件下では膜形態を維持するものと予想

膜の表面および断面SEM像
大腸菌に対する抗菌性(菌を蛍光染色)
TiON膜表面近傍断面のTEM像およびEDS元素比マップ
(Ti/(N+O)):最表面のN濃度=約20 atom%
ナノインデンテーション試験により計測した
膜の弾性変形域内の特性 [球状圧子: r=9.85 μm]

期待される市場・応用

・抗菌インプラント

謝 辞:本研究は、JSPS科研費(JP21H01644)の助成を受けて実施されたものである。