2015年度

JFCC研究成果集

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2015-5

第一原理計算によるLiCoO2多形体の構造と特性


技術のポイント

Li 二次電池用正極材料 LiCoO2における多形体の安定性・正極電位の積層順序に対する依存性

基礎研究


背景
正極材料として使用されるLiCoO2は立方最密充填(ccp)系の多形体であるが、近年、他の多形体(O2ポリタイプ)の合成・特性評価も報告されている。

目的
LiCoO2の八面体Li系多形体を中心として、積層構造と電池用正極材料関連の特性について、理論計算を用いて系統的に検討する。

成果
(1) O1ポリタイプはhcp積層構造であり、最も低電位の多形体である。
(2) O2ポリタイプはccp構造とhcp構造のミックスであり、特性がO3とO1の中間である。多形体の単位セルはO3より大きくなる。最も安定な積層構造の電位と密度はO3の特性に近くなる。
O3ポリタイプが最も安定性、密度、電位が高い多形体である


・手法: 経験的原子間ポテンシャル法(GULPコード)と密度汎関数理論(VASPコード)
・評価: 相対安定性 : ΔEform=(ポリタイプのエネルギー)−(最も安定なポリタイプO3のエネルギー)
電位 : V=[(LiCoO2のエネルギー)−(CoO2のエネルギー+Liのエネルギー)]/ファラデー定数

On-LiCoO2 (n = 1〜4)ポリタイプの単位セル
(最も安定な積層構造の場合)
On-LiCoO2 (n =1〜7)の相対エネルギー
ΔEformと電位Vのポリタイプ依存性



期待される適応分野
・ リチウムイオン電池用正極材料の最適化
・ 高信頼性リチウムイオンキャパシター材料の開発
・ 高エネルギー蓄電材料素子の開発

参考文献 [1] M. S. Islam and C. A. J. Fisher, Chem. Soc. Rev., 43 (2014) 185.
[2] C. A. J. Fisher, et al., Phys. Status Solidi RRL, 8 (2014) 545.



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